【新人看護師】離職率7.8%~1年目の離職理由はリアリティショック

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新人看護師の離職率は、看護職全体の離職率に比べて決して高くはありません。しかし、新人看護師は入職してから、1年目のわりと早い段階で1度は離職を考える傾向にあります。この傾向は今に始まったことではなく、多くの人が新人時代に経験する一人前になるための過程です。

それではなぜ新人看護師は仕事を辞めたくなるのでしょうか。データに基づいて分析してみましょう。

新人看護師の離職率は看護師全体の平均より実は低い

意外に思う人もいるかもしれませんが、新人看護師(新卒看護師)の離職率は看護師全体の離職率よりも低いです。以下が看護協会が2017年4月に公表した過去5年間における離職率の推移になります。

常勤看護師新卒看護師
2011年10.9%7.5%
2012年11.0%7.9%
2013年11.0%7.5%
2014年10.8%7.5%
2015年10.9%7.8%

公益社団法人日本看護協会調査 対象:全国の病院8,469施設 有効回答3,549施設

 新人看護師の離職率は、だいたい7.5%~7.9%の間で横ばいの傾向にあります。10年ほど前には9%を超えていたことを考えると、新人看護師研修プログラムなどの取り組みが、一定の効果があったことが読み取れます。
とはいえ入職も間もない新人看護師が、7.8%も1年目で離職するという現実は決して軽視すべきものではありません。ある程度の経験を積んだ看護師とは違い、まだ経験も浅く実践経験も未熟な看護師の離職は、病院を辞めるということだけでなく「看護師そのもの」を辞めてしまうことにもなりかねません。
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小規模な病院ほど新人看護師の離職が多い

2016年の看護協会における調査では、小規模な病院ほど看護師の離職が多く、とりわけ新人看護師の離職率は顕著なことがわかっています。

病院規模と離職率の関係は以下のとおりです。

 

回答病院数常勤離職率新卒離職率
99床以下74112.3%13.9%
100~199床98912.2%10.1%
200~299床45611.4%8.4%
300~399床34511.0%8.0%
400~499床23510.2%7.8%
500床以上28810.2%7.0%
公益社団法人日本看護協会調査 対象:全国の病院8,469施設 有効回答3,549施設

新人看護師の離職。最大の理由はリアリティショック

リアリティショックとは新たに職務についた新人が、理想と現実のギャップに衝撃を受けたり、期待とのギャップに苦悩することです。

教育現場と実際の現場とのギャップに苦しむ新人たち

新人看護師の多くが入職してから苦労することの1つに、教育で学んできたことと実際の現場とのギャップがあります。前述した看護協会における離職率の調査でも、新卒の看護師が離職する理由として教育と現場のギャップをあげています。

また、新人の看護師は1つのミスや失敗を必要以上に重く受け止める傾向にあり、

「失敗」→「向いてない」→「辞めたい」

という感情に陥りやすい傾向もあります。当然ながらミスは医療事故に繋がる可能性があるため、容認できることではないかもしれません。

しかし、ミスや失敗をせずに一人前の看護師になった人がどれだけいるでしょうか?

ミスや失敗は繰り返さないことに意味があります。インシデントを起こしてしまったなら、再発を防止するための努力を個人としても組織としても取り組むべきことです。大切なのは向き不向きの判断ではなく、失敗から学ぶことなのです。

「怒られた」と受けとめるか「教えられた」ととるか

新人看護師にとって入職してからの日々は怒涛のような毎日でしょう。学ぶべきことも多く、業務も多岐にわたり、ときには先輩に叱られることもあるでしょう。そのたびに一喜一憂し、落ち込んでは決意しなおす。そんな日々が続いて、季節は春から夏になり、もはや季節感も感じられないほど必死になるかもしれません。

日々の業務でおきる様々なことに心が揺れ、ときに悔しい思いをするかもしれませんし、涙が出る日もあるかもしれません。

しかし、発想の転換も必要です。

先輩に叱られて「教えてくれている」と受けとめるか、ただ「怒られている」と受けとめるか。そういった受けとめ方1つ、心の持ちようによって現実の受けとめ方も変わります。先輩の叱咤から何を学ぶか。起こしてしまった失敗から何を学び、再び起こさないようにするか。

それは自分次第です。

新人看護師が陥りやすい感情として、失敗した時や先輩に叱られた時に「自分は看護師に向いていないのではないか」と思い悩む傾向があります。

その答えは貴方の中にあるのであって、誰も答えを持っていません。

ただ1つ言えることは、

本当に看護師に向いていない人は、「自分は看護師に向いていない」と悩んだりしない人です。つまり、自分が看護師に向いていないと悩むこと自体、例えまだ未熟であっても「看護師」なのです。

まとめ

  1. 離職率の実態
    • 新人看護師の離職率は、看護師全体の離職率よりも低い傾向があり、2011年から2015年の期間では約7.5%から7.9%の範囲で横ばい。
    • この低い離職率は、新人看護師研修プログラムなどの取り組みが一定の効果をもたらしている可能性が示唆されている。
  2. 病院規模と離職率の関連
    • 小規模な病院ほど看護師の離職率が高く、特に新人看護師の離職率が顕著。
    • 病院の床数が増えるにつれ、看護師の離職率は総じて低下する傾向がある。
  3. 離職の主な理由:リアリティショック
    • リアリティショックは、新人が理想と現実、期待とのギャップに苦しむ状態を指す。
    • 教育で学んだことと実際の現場でのギャップが新人看護師にとって大きな課題。
  4. 感情の影響と受けとめ方の重要性
    • ミスや失敗が新人看護師にとって大きな負担となり、離職を考えるきっかけになることがある。
    • 失敗を恐れず、むしろ失敗から学ぶ姿勢が重要。また、先輩からの指導を「教えてもらっている」と受けとめることが大切。
  5. 自己評価と向き不向きの悩み
    • 失敗や叱責を通じて成長するプロセスはあるが、これが新人看護師の自己評価に影響を与え、看護師業界に向いているかどうかの悩みにつながることがある。

総じて、新人看護師の離職率低下には教育プログラムの効果がある一方で、リアリティショックや現場での経験不足による課題も浮き彫りになっています。これらの課題への対応や、適切な受けとめ方が、新人看護師の成長と職場継続に寄与することが期待されます。

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