ヒューマンエラーの原因~人が間違える12の理由

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ヒューマンエラーの原因~なぜ起こるのか?

ヒューマンエラーの原因を知るためには、エラーに至った過程を辿る必要があります。もし仮にここで、ヒューマンエラーはなぜ起こるのかを知ったとしても、すべての状況に当てはまるとは限りません。

だからこそ、人はどのような過程においてエラーを起こすのか、それを知る必要があるのです。

エラーの原因はさまざまあります。しかし、エラーの原因を知れば知るほど、実はヒューマンエラーは「事故の原因ではなく結果」なのだということを知ることになるでしょう。

それでは以下で、ヒューマンエラーの原因となるパターンを解説します。

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ヒューマンエラーの原因となる12パターン

ヒューマンエラーの原因を説明した図

①無知、経験不足、不慣れ

新人に多いエラーです。そもそも行った業務について無知であったり、学習不足の場合に多くなるパターンになります。また、不慣れな場合もエラーを起こしやすくなります。まだ理解が十分ではなく、業務に熟練していく過程で発生します。

この段階でのエラーは行動を気をつけるだけでは不十分です。なぜなら、行動をする以前の段階において、すでにエラーの要因があるためです。経験不足によるエラーを起こさないようにするには、徹底して何度も業務を繰り返していくことが必要になります。

②危険軽視、慣れ

「危険軽視」や「慣れ」によるエラーは、前述した①無知、経験不足、不慣れの延長線上にあるパターンです。このパターンでのエラーは「慣れた頃に事故を起こす」という言葉がピッタリのタイプです。

人間は慣れるにしたがって、当初は気をつけていたような事柄でも、少しづつ気を抜いてしまいやすい傾向があります。つまり、危険を軽視し始めるわけです。

そのため、このタイプのエラーは新人が成長していく過程で起こりやすくなります。また、業務に熟練したベテランでも、あまりに業務に慣れきってしまい、危険を軽視する場合もありますので注意が必要です。

③不注意

おそらくこの「不注意」がヒューマンエラーの一般的なパターンとなるでしょう。不注意とは当然ながら「注意する」の反対ですので、②で解説した「危険軽視」とも重なる部分があります。

あえて「危険軽視」と違う点をあげるとしたら、危険を軽視していなくても不注意によるエラーは起こるというところです。

このパターンによるエラーが発生した場合には、エラーが発生した事実を把握した上で、注意を促し周知する必要があります。

④連絡不足

連絡不足によるエラーとは、コミュニケーションエラーです。このパターンのエラーは、主に複数の人々が関与する業務において発生しやすくなります。

個人によるエラーとして発生する場合のみならず、組織的に発生することも多いため、組織全体としてエラーを防止する努力が必要になります。

⑤集団欠陥

集団欠陥とは、いわば組織における空気のようなものです。安全は二の次で生産性や効率性を追い求める状況などで、安全に関して集団的な欠陥がある場合をいいます。

この集団欠陥には、組織の安全文化も含みます。

ヒューマンエラーの原因としては、個人よりも組織的な要因が強く反映されたパターンといえます。そういう意味においては、集団欠陥は組織的な欠陥といえるでしょう。

集団欠陥は個人の努力だけでは改善が難しいため、組織的な対策を要します。

⑥近道、省略行動

近道行動と省略行動は、定められた手順を遵守せずに起こるエラーです。

このパターンのエラーは、技術的なエラーや学習不足によるエラーと違い、規則的なエラーです。近道、省略行動をする理由の一つとしては、前述した「⑤集団欠陥」の要素が含まれる場合が多くあります。

つまり、生産性や効率性を追い求めるプレッシャーなどが、本来すべき手順の不遵守につながっている可能性があるということです。

近道行動や省略行動は、もはやコンプライアンスの問題であり、組織の成員に対して規則を遵守すべきことを徹底して教育することが大切です。

また、安全を蔑ろにした組織風土がある場合には、まず組織としての改善を要します。

⑦場面行動本能

場面行動本能とは、注意が一点に集中してしまい他のことを見落としてしまったり、疎かにしてしまうことをいいます。

この場面行動本能は、誰もがエラーを起こしてしまう原因となりえますが、とりわけ新人に多くみられるエラーでもあります。目の前のことに必死になり、本来は留意すべき他の事柄を忘れてしまったりするパターンです。

このパターンは、複数の業務をこなす「マルチタスク」の状態でも誘因しやすくなります。可能な限り一つ一つの事柄に集中できるようにすることで、場面行動本能に起因する事故を防止することができます。

複数の業務を限られた時間に実施する場合には注意が必要です。

⑧パニック

パニックは主に自分が想定していなかった事態に直面したり、新人が上司や先輩から強いプレッシャーを感じているときになりやすくなります。

人間はパニックに陥ると、通常なら簡単に認識したり判断できることでも、できなくなってしまうものです。そういった状態になると、当然ながらエラーを起こしやすい状態にもなるのです。

そのため、事前に直面する可能性のある事態を想定しておくことが重要になります。

⑨錯覚

錯覚は正しい情報を勘違いすることです。

錯覚によるエラーは状況を見誤ること、あるいは指示を聞き間違えたり誤認することによって起きます。これは④で説明した「連絡不足」にも似ています。

つまり錯覚は正しい情報を受けとる側の認知ミスともいえます。

このパターンのエラーは、実は非常に多いです。そもそもエラーというのは、目前の状況に対して誤ったモデルを適用するときに発生します。

そのため、まず状況を錯覚してしまえば、その後の行動が本来の目的から逸脱しやすくなるのです。

⑩中高年の機能低下

人間は加齢とともに様々な機能が低下していきます。記憶力の低下や認識力の低下、身体的な機能の低下もあるでしょう。

とりわけ記憶や認識における機能の低下は、「⑨錯覚」を起こしやすくなりますし、場合によっては「②危険軽視、慣れ」「③不注意」を誘因しやすくなるでしょう。

⑪疲労

疲労も人間の様々な能力を低下する要因になります。

残業の多い職場や勤務体制が厳しい環境下では、疲労が蓄積してエラーを起こしやすくなります。とりわけ疲労が慢性化して、当たり前になってしまっている場合は注意が必要です。なぜなら、本人でさえも自分が疲れているのかどうか判断ができない状態になっていることもあるからです。

ヒューマンエラーを起こさないためにも、十分な休息をとりながら心身の管理をする必要があります。

⑫単調な作業による意識低下

単調な作業や決められた業務を繰り返すことが多い業務は、集中力の欠如や意識の低下を起こしやすくなります。

それにともなって注意力が低下して、エラーを起こす要因になります。

このパターンは「②危険軽視、慣れ」「③不注意」にも通じるところがあり、技術的な問題というよりも意識の問題といえるでしょう。

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まとめ

ヒューマンエラーの原因は状況によって様々です。

上記で説明したエラーの12パターンは、それぞれ一つが原因となるだけではなく、複合的に複数のパターンが混在する場合も多々あります。

いずれにしても大切なことは、事故の原因はヒューマンエラーそのものにあるのではなく、エラーの背景にある様々な要素が真因だということです。

つまりヒューマンエラーは原因ではなく結果だということです。

そのため、ヒューマンエラーの発生を防止して、事故を未然に防ぐためには、エラーを誘発させる背景要因に有効な対策をする必要があるのです。

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