フェイルセーフとフールプルーフは、ヒューマンエラーによる事故を防止するためには非常に大事な概念です。この記事ではフェイルセーフとフールプルーフの意味や考え方を解説します。
目次
フェイルセーフとフールプルーフの意味と事例
フェイルセーフとはなにか?
フェイルセーフ(fail safe)とは製品やシステムに故障あるいはエラーが発生しても安全が維持できるように工夫することです。つまり、ミスやエラーが発生しても、安全側に向かうような工夫です。
フェイルセーフには以下のような例がある
・自動車のスライドドアに身体が挟まれそうになったらドアが停止する
・異常を検知した列車が自動的に緊急停止する
医療のフェイルセーフには以下のような例がある
【医療におけるフェイルセーフの例】
・自然災害が発生して病院が停電になっても自家発電によって電気の供給が無くならないようにする
・医療機器を誤った使用法で操作しようとした場合に自動的に機能を停止する
フールプルーフとはなにか?
フールプルーフ(fool proof)とは人間が誤った行為をしようとしても出来ないようにする工夫のことです。
フールプルーフには以下のような例がある
・洗濯機は蓋を閉じなければドラムが回転しない
・自動車はブレーキを踏んでいなければエンジンをかけられない
・電気ケトルで湯を沸かそうとしても水が入っていなければスイッチをONにできない(空焚き防止のため)
医療のフールプルーフには以下のような例がある
【医療におけるフールプルーフの例】
・名前やパッケージが似ている薬剤を別々の場所で保管して取り違えないようにする
フェイルセーフとフールプルーフの違い
フェイルセーフとフールプルーフの違いは、そもそもエラーを起こさせないようにするのか、エラーが起きても事故につながらないようにするかにあります。
そのため、まず設計や計画段階で考慮すべきはフールプルーフの方になります。つまりエラーそのものをさせない設計と計画です。
いわばフェイルセーフはフールプルーフの次善策といえます。ヒューマンエラー対策の原則は「エラーできない方法」を検討することです。そのため、まずはフールプルーフを考慮すべきだということになるのです。
まずは「できなくする」というフールプルーフを先に検討すべきです。しかし、状況的に「できなくする」ということが困難な場合もあります。
そのため、フェイルセーフにおいてエラーが起きても安全になるような設計、計画あるいは対策が必要になるのです。フェイルセーフはフールプルーフのように「できなくする」というような一義的な概念ではなく、安全のための防護壁を二重、三重に設けるべきものです。つまり、安全対策のすべてで考慮すべき概念です。
そのため、フールプルーフが困難な場合は、安全側に導かれるような施策を設ける「フェイルセーフ」が必要となるということです。
まとめ
フェイルセーフとフールプルーフは、ヒューマンエラーによる事故を防止するための重要な概念です。以下に、それぞれの意味や事例、そして違いについて解説します。
フェイルセーフ(Fail-Safe)
意味: フェイルセーフは、製品やシステムに故障やエラーが発生しても安全が維持できるように工夫する概念です。つまり、ミスやエラーが発生しても、安全側に向かうような設計や対策を指します。
事例:
- 自動車のスライドドアが身体が挟まれそうになった場合、ドアが停止する。
- 異常を検知した列車が自動的に緊急停止する。
- 医療機器が誤った使用法で操作されそうになった場合、自動的に機能を停止する。
フールプルーフ(Fool-Proof)
意味: フールプルーフは、人間が誤った行為をしようとしても防げるようにする工夫のことです。つまり、誤った行動を事前に防ぐような仕組みや設計を指します。
事例:
- 洗濯機は蓋を閉じなければドラムが回転しない。
- 自動車はブレーキを踏んでいなければエンジンをかけられない。
- 電気ケトルで湯を沸かそうとしても水が入っていなければスイッチをONにできない(空焚き防止のため)。
フェイルセーフとフールプルーフの違い
違い: フェイルセーフは、エラーが発生してもそれが安全な状態に導くような設計や対策を指し、エラーを完全に防ぐものではありません。一方で、フールプルーフは事前に人間が誤った行為をできなくするような仕組みを指します。
考慮すべき順序: 一般的に、設計や計画段階ではまずフールプルーフを考慮すべきです。つまり、エラーそのものをさせないような設計や計画が最優先となります。しかし、状況によっては「できなくする」ことが難しい場合があり、その際にはフェイルセーフが必要となります。
フェイルセーフの役割: フェイルセーフは、エラーが起きても安全な状態に導くための安全対策であり、フールプルーフが困難な場合にも有効です。フェイルセーフは二重や三重の防護壁を設け、安全対策全体で考慮すべき概念となります。
総じて、ヒューマンエラーによる事故を最小限に抑えるためには、フールプルーフとフェイルセーフの両方が総合的に考慮されるべきです。