【看護必要度】「移乗」「寝返り」2022年改定

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看護必要度B項目「寝返り」を評価する

「寝返り」の説明図

「寝返り」の定義と判断基準・留意点

項目の定義

寝返りが自分でできるかどうか、あるいはベッド柵、ひも、バー、サイドレール等の何かにつかまればできるかどうかを評価する項目である。ここでいう『寝返り』とは、仰臥位から(左右どちらかの)側臥位になる動作である。

選択肢の判断基準


「できる」何にもつかまらず、寝返り(片側だけでよい)が1人でできる場合をいう。
「何かにつかまればできる」 ベッド柵、ひも、バー、サイドレール等の何かにつかまれば1人で寝返りができる場合をいう。 
「できない」
 介助なしでは1人で寝返りができない等、寝返りに何らかの介助が必要な場合をいう。

判断に際しての留意点


「何かにつかまればできる」状態とは、看護師等が事前に環境を整えておくことによって患者自身が1人で寝返りができる状態であり、寝返りの際に、ベッド柵に患者の手をつかまらせる等の介助を看護師等が行っている場合は「できない」となる。

寝返りを評価する場合に確認すべきこと

寝返りが「できる」「できない」の判断をする際に注意したいのは、「何かにつかまればできる」の判断です。

明らかに寝返りができない場合は判断がしやすいですが、「何かにつかまれば寝返りができる」に関しては判断が人によってバラつきやすい部分です。

寝返りの判断基準に定められているように、「何かにつかまればできる」の「何か」とはベッド柵、ひも、バー、サイドレール等のことです。

つまり、「物」です。

例えば看護師の介助があれば寝返りができるという場合の判断基準は、通常「できない」という判断になります。なぜなら「一人」ではできないからです。

ここでのポイントは「一人で寝返りできるか否か」です。

仮に自分で手や足を動かすことができても、寝返りに介助を要するのであれば一人で寝返りは「できない」ということになります。

また、手術患者の評価を行う際には、術前の状態を評価して行うか、術後の評価を行うか迷う場合があります。もしも定められた評価時間が手術時間と重なる場合には、術前の状態で判断します

寝返りの判断が評価者によってバラつきがでないように、しっかり確認した上で評価しましょう。

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看護必要度B項目「移乗」を評価する

「移乗」の説明図

「移乗」の定義と判断基準・留意点

項目の定義


移乗が自分でできるかどうか、あるいは看護師等が見守りや介助を行っているかどうかを評価する項目である。ここでいう「移乗」とは、「ベッドから車椅子へ」、「ベッドからストレッチャーへ」、「車椅子からポータブルトイレへ」等、乗り移ることである。

※2018年の診療報酬改定で「ベッドからポータブルトイレへ」から「車椅子からポータブルトイレへ」に変更されました。

選択肢の判断基準


「できる」 介助なしで移乗できる場合をいう。這って動いても、移乗が自分でできる場合も含む。
「見守り・一部介助が必要」 直接介助をする必要はないが事故等がないように見守る場合、あるいは自分では移乗ができないため他者が手を添える、体幹を支える等の一部介助が行われている場合をいう。ストレッチャーへの移動の際に、患者が自力で少しずつ移動できる場合、看護師等が危険のないように付き添う場合も「見守り・一部介助が必要」となる。
「できない」 自分では移乗が全くできないために、他者が抱える、運ぶ等の全面的に介助が行われている場合をいう。

判断に際しての留意点


患者が自分では動けず、イージースライダー等の移乗用具を使用する場合は「できない」となる。車椅子等への移乗の際に、立つ、向きを変える、数歩動く等に対して、患者自身も行い(力が出せており)、看護師等が介助を行っている場合は、「見守り・一部介助が必要」となる。医師の指示により、自力での移乗を制限されていた場合は「できない」とする。移乗が制限されていないにもかかわらず、看護師等が移乗を行わなかった場合は、「できる」とする。

「移乗」を評価する場合に確認すべきこと

移乗が「できる」「できない」の判断は、患者が勝手に移乗した場合にも判断基準に含まれます。移乗の判断は、あくまでも「移乗ができるかどうか」です。

そのため、安静にするように言われている患者が一人で移乗した場合にも「できる」もしくは「介助なし」に含まれるのです。

また、患者が義肢装具あるいはコルセットを装着している場合には、装具を装着した状態での評価を行うことが必要です。この判断も人によってバラつきがでやすい部分なので、しっかり確認の上で評価しましょう。

まとめ

必要度のB項目は患者のADLを評価する項目です。ADLの判断・評価は評価者によってバラつきがでやすいので、評価前にしっかり確認することが大切です。

また、ハロー効果(全体の印象が部分の判断に強く影響する)こともあるため、評価者それぞれで患者の判断にズレが生じやすくもあります。

例えば「寝返り」ができない患者を見て、「移乗」もできないだろうという先入観をもつなどです。このような先入観は評価を歪める原因となる場合もあるため注意しましょう。

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