
【2026年最新版】重症度、医療・看護必要度 B項目「患者の状況等」の評価と変更点
B項目「患者の状況等」は、患者の日常生活動作(ADL)や認知・行動面の状況を評価する項目です。 2024年度(令和6年度)の診療報酬改定において、急性期一般入院料1などの重症度判定基準からはB項目が除外されましたが、「毎日の測定・記録」自体は引き続き義務付けられており、現場の業務負担が大きな課題となっていました。
2026年度(令和8年度)の最新改定では、この記録負担を軽減するため、B項目の「測定頻度」に関するルールが抜本的に見直されました。本稿では、最新改定内容を踏まえてB項目の共通事項と各評価項目について解説します。
B項目共通事項(2026年度版)
基本的な評価ルールは維持されつつ、測定頻度に関する運用が大きく緩和されています。
装具(義手・義足・コルセット等)を装着している場合は、装着後の状態で評価する。
評価時間帯に状態が変化した場合は、より自立度の低い状態を基準に評価する。
医師の指示による動作制限がある場合は、「できない」または「全介助」とする(※指示記録が必要)。
動作が制限されていない場合は、動作を促し観察して評価する。確認を行わなかった場合は「できる」「介助なし」とする。
禁止されている動作を患者が無断で行った場合は「できる」と評価する。
【2026年改定・新ルール】測定頻度の緩和 従来通り毎日測定を行ってもよいが、毎日測定を行わない場合は以下のルールを適用できる。
入院初日から4日目までは毎日測定が必須。
入院5日目以降は、直近測定日から少なくとも「7日ごとに1回以上」の測定でよい。
退院日は必ず測定を実施する。 ※測定日以外の評価については、直近の評価データで代替可能となります。
B1〜B13 各項目の定義と判断基準
※項目の定義自体は2024年から大きな変更はありません。
B1 床上安静の指示
定義: 医師の指示書やクリニカルパスに「床上安静」と同義の記録がある場合に評価。
基準: 「あり」=記録上でベッド上離床不可と示されている場合。
B2 どちらかの手を胸元まで持ち上げられる
定義: 患者自身で手関節から先を胸元(首下)まで持ち上げられるかを評価。
基準: 「できる」=一方の手で可。/「できない」=制限や拘縮で不可能。
B3 寝返り
定義: 仰臥位から側臥位への動作ができるかを評価。
基準: 「できる」「何かにつかまればできる」「できない」で判定。
B4 起き上がり
定義: 仰臥位から上体を起こす動作を評価。
基準: 「できる」または「できない」で判定。
B5 座位保持
定義: 座位姿勢を保持できるかを評価。
基準: 「できる」「支えがあればできる」「できない」で判定。
B6 移乗
定義: ベッド⇔車椅子などへの移乗が可能かを評価。
基準: 「介助なし」「一部介助」「全介助」で判定。
B7 移動方法
定義: 病棟内の移動手段を評価。
基準: 「介助を要しない移動」または「介助を要する移動(搬送を含む)」。
B8 口腔清潔
定義: 歯磨きや口腔内清掃が自力で可能かを評価。
基準: 「できる」「できない」で判定。
B9 食事摂取
定義: 経口・経管による食事摂取の介助状況を評価(中心静脈栄養は含まない)。
基準: 「介助なし」「一部介助」「全介助」で判定。
B10 衣服の着脱
定義: 衣服(寝衣・下着・オムツ等)の着脱における介助状況を評価。
基準: 「介助なし」「一部介助」「全介助」で判定。
B11 他者への意思の伝達
定義: 筆談・ジェスチャー等を含め、意思を伝えられるかを評価。
基準: 「できる」「できる時とできない時がある」「できない」で判定。
B12 診療・療養上の指示が通じる
定義: 当日の診療・療養上の指示に従えるかを評価。
基準: 「はい」「いいえ」で判定。
B13 危険行動
定義: 過去1週間以内にチューブ自己抜去、転倒、自傷行為等があったかを評価。
基準: 「ある」「ない」で判定。
まとめ:2024年版から2026年版で何がどう変わったのか?
📌 2026年改定の総括(何がどう変わったのか) 2026年改定におけるB項目の最大の焦点は、「看護師の記録負担の抜本的な軽減」です。 2024年改定において、B項目は一部病棟(急性期一般1など)の重症度判定要件から外れました。しかし「毎日測定し記録する義務」だけが残ったため、「点数に反映されないのに記録の手間だけがかかる」と現場から強い不満が挙がっていました。また、実データ上も「入院から数日経過すると、B項目のスコアは安定・固定化しやすい」というエビデンスが確認されました。
これらを踏まえ、2026年改定では「入院初期と退院時を除き、毎日測定しなくてもよい(週1回測定し、間の日は直近データを引き継ぐ)」という極めて合理的なルールが導入されました。これにより、患者のADLや認知状態を把握するというB項目本来の意義を保ちつつ、無駄な記録業務が大幅に削減される形へと進化しています。
参考文献
厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要(入院)」
厚生労働省「重症度、医療・看護必要度に係る評価票 評価の手引き(令和8年度版)」
中央社会保険医療協議会(中医協) 総会・入院医療等の調査・評価分科会 各種答申資料(令和7年~8年)














