目次
看護必要度B項目「危険行動」を評価する
「危険行動」の定義と判断基準・留意点
項目の定義
患者の危険行動の有無を評価する項目である。ここでいう「危険行動」は、「治療・検査中のチューブ類・点滴ルート等を自分で取り外す、転倒・転落、自分を傷つける行為」の発生または「そのまま放置すれば危険行動に至ると判断する行動」を過去1週間以内の評価対象期間に看護職員等が確認した場合をいう。
※2018年の診療報酬改定によって「および」から「または」に変更されました。
選択肢の判断基準
「ない」 過去1週間以内に危険行動がなかった場合をいう。
「ある」過去1週間以内に危険行動があった場合をいう。
判断に際しての留意点
患者の危険行動にあたっては、適時のアセスメントと適切な対応、並びに日々の評価を前提としている。
この項目は、その上で、なお発生が予測できなかった危険行動の事実とその対応の手間を評価する項目であり、対策をもたない状況下で発生している危険行動の有無を評価するものではない。
認知症等の有無や、日常生活動作能力の低下等の危険行動を起こす疾患・原因等の背景や、行動の持続時間等の程度を判断の基準としない。
なお、病室での喫煙や大声を出す・暴力を振るう等の、いわゆる迷惑行為は、この項目での定義における「危険行動」には含めない。
危険行動を評価する場合に確認すべきこと
危険行動の有無を判断する場合は、前提として危険行動の対策をとっていることが必要となります。その評価の前提となる要件とは以下の3つです。
① 適時のアセスメントと適切な対応をしている
② 日々の評価をしている
③ ①、②の条件を満たした上で、なお発生が予測できなかった危険行動の「事実」とその「対応」
上記3つの条件を満たしておらず、対策をもたない状況下で発生している場合の危険行動は「ない」となりますので注意が必要です。
看護必要度B項目「診療・療養上の指示が通じる」を評価する
「診療・療養上の指示が通じる」の定義と判断基準・留意点
項目の定義
指示内容や背景疾患は問わず、診療・療養上の指示に対して、理解でき実行できるかどうかを評価する項目である
選択肢の判断基準
「はい」 診療・療養上の指示に対して、適切な行動が常に行われている場合、あるいは指示通りでない行動の記録がない場合をいう。
「いいえ」診療・療養上の指示に対して、指示通りでない行動が1回でもみられた場合、かつ指示通りでない行動の記録がある場合をいう。
判断に際しての留意点
精神科領域、意識障害等の有無等、背景疾患は問わない。指示の内容は問わないが、あくまでも診療・療養上で必要な指示であり、評価日当日の指示であること、及びその指示が適切な時刻に行われた状態で評価されることを前提とする。
※2018年の診療報酬改定で「評価日当日の指示であること」が加えられました。
医師の話を理解したように見えても、意識障害等により指示を理解できない場合や、自分なりの解釈を行い結果的に、療養上の指示から外れた行動をした場合は「いいえ」とする。
少しでも反応があやふやであったり、何回も同様のことを言ってきたり、看護師等の指示と違う行動をするようであれば、「いいえ」と判断する。
「診療・療養上の指示が通じる」を評価する場合に確認すべきこと
「診療・療養上の指示が通じる」の判断をする上で注意したいのは、精神科領域、意識障害等の有無等、背景疾患は問わないという部分です。指示が通じるか否かについて「はい」「いいえ」を問われているのであって、疾患の有無を問われているわけではありません。
しかし、間違えやすい部分としては、「医師の話を理解したように見えても、意識障害等により指示を理解できない場合は「いいえ」とする」という所です。さきほどは「意識障害等の有無、背景疾患は問わない」とあったのに、この部分では「意識障害等により」という文言が「いいえ」の判断になるとあるからです。
この部分の判断基準をする上でポイントとなるのは、あくまでも「指示が通じる」か否かが重要であり、その背景要因は問わないということです。
つまり、どのような状態であれ「通じるか」「通じないか」を評価するということです。例えば指示が通じていて、なおかつ指示どおり実行しようとするが何かしらの理由で出来ない場合であっても、指示どおりに実行しようとしてるなら「通じている」ということになります。
そして「あくまでも診療・療養上で必要な指示であること、及びその指示が適切な時刻に行われた状態で評価されること」が前提であることを確認しましょう。
まとめ
看護必要度B項目では患者のADLを判断し評価する項目です。ADLとは日常的な生活動作ですから、当然ながら評価する以外の時間にも行われています。
そのため、評価者の先入観が入り込みやすいものです。
例えば普段の会話の中で「話しが理解できているのかな?」と疑問に思うことがあっても、診療上の指示が通じていれば必要度の評価としては「通じている」ことになります。
このように、患者の精神疾患等の有無や普段の動作などから、評価時に評価者の主観やバイアスがかかり評価を歪めてしまいかねません。
そのため、「危険行動」「診療・療養上の指示が通じる」の判断・評価をする際には、「何を評価すべき」で「何を問わないか」をハッキリと理解した上で行うようにしましょう。