看護必要度とは?その定義と意味~2022年度診療報酬改定での変更点

記録をとる看護師
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 看護必要度とは何か?その定義と意味について

看護必要度とは、必要な看護サービスの量を評価するための数値

病院では患者に必要とされる適切なケアを提供するために、看護師を病棟ごとに適正な人員を配置することが必要です。そのため、患者の重症度によって看護師の配置を適正に行おうというのが看護必要度です。

例えば、病院に入院している患者の病状や重症度によって、看護師が提供する看護業務には質や量に違いがあります。症状が軽く看護の助けをあまり要しない軽症で自立した患者の場合と、モニタリングが必要な患者や定期的に看護を要する患者とでは差があります。

そのため、病院によって配置すべき看護師の人数が異なることになります。そうした状況をふまえて、重症度の高い患者が多く入院している病院や高度な医療を行っている病院を評価するために、数値化したものが看護必要度なのです。

つまり「この病院ではどれだけの看護師を必要としてるのか」ということを評価するために数値化したものです。

看護必要度を評価することによって、看護管理者は患者に適切なケアを提供するための条件を把握することができます。

看護師は患者の重症度によっては1対1で対応しなければならない場合もあれば、複数の看護師で複数の患者をケアする「多対多」の場合もあります。また、患者の状態が変化しやすい急性期の場合には、時間帯ごとに対応や配置を変化させなければなりません。

そういった状況に対応するために必要度の評価をして、患者に必要なケアを提供するということです。

注意が必要なのは、必ずしも患者の重症度によって看護必要度の評価がされないという点です。仮に患者が重症であっても看護サービスの提供が発生しなければ必要度の評価はされないとうことになります。

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看護必要度の目的は適切な人員の配置

看護必要度の評価を行う目的は、適切な人員の配置をするためにあります。日本の病院では7対1や10対1の人員配置を進めてきました。これは診療報酬の入院基本料に応じた配置基準となっているからです。

患者7人に対して看護師が1人という人員配置をしている病院と患者10人に対し看護師が1人という人員配置の病院では、患者7人に対して看護師が1人の病院の方が高度な医療を提供できるとして、診療報酬の入院基本料が高く設定されています。

看護必要度を評価して適切な人員を配置することは、病院が提供する看護サービスの質や量をはかる指標となるのです。

看護必要度を評価することについて

看護必要度を評価する上で重要なことは、提供する看護サービスの量を適切に評価することです。チェック項目には厳正なる定義があります。そのため大切なことは、評価者が適切な評価を行えるようになることが求められます。

看護必要度の評価は7対1病院として適切かどうかの基準にもなります。病院が7対1の基準にふさわしいかどうかの判断材料にもなるため、病院の経営にとっても重要なことなのです。

看護サービスを提供したのにもかかわらず、適切に評価していないなどの不備がないようにしなければなりません。そのため、看護必要度のポイントは、評価者をいかに育てるかにあります。

定期的に研修や学習会を開催して、評価者の理解を深めると同時に、診療報酬の改定にともなう変更についても適時適切に対応することが求められます。

2020年の診療報酬改定で変更された看護必要度の項目とポイント

2020年に診療報酬の改定が行われ、看護必要度の項目についても変更がありました。

2020年に変更された項目は以下のとおりです。

①看護必要度のA項目とC項目の評価方法が見直されました

看護必要度A項目の改定

【改定前】専門的な治療・処置⑥免疫抑制剤の管理  【改定後】専門的な治療・処置⑥免疫抑制剤の管理(注射剤のみ) ※内服は対象外となりました

【改定前】救急搬送後の入院(2日間) → 【改定後】<必要度Ⅰ>救急搬送後の入院(5日間)※評価日数が延長されました ※新設<必要度Ⅱ>緊急に入院を必要とする状態(5日間)入院日に救急医療管理加算1.2,夜間休日救急搬送医学管理料のいずれかを算定する患者を対象とします

看護必要度C項目の改定

【改定前】開頭手術(7日間)  【改定後】開頭手術(13日間)

【改定前】開胸手術(7日間) → 【改定後】開胸手術(12日間)

【改定前】開腹手術(4日間)  【改定後】開腹手術(7日間)

【改定前】骨の手術(5日間) → 【改定後】骨の手術(11日間)

【改定前】胸腔鏡・腹腔鏡手術(3日間)  【改定後】胸腔鏡・腹腔鏡手術(5日間)

【改定前】全身麻酔・脊椎麻酔の手術(2日間)  【改定後】全身麻酔・脊椎麻酔の手術(5日間)

【改定前】救命等に係る内科的治療(2日間) → 【改定後】救命等に係る内科的治療(5日間)

【新設】別に定める検査(2日間) ※入院で実施される割合が9割以上のものを追加

【新設】別に定める検査(6日間) ※入院で実施される割合が9割以上のものを追加

②必要度Ⅱの評価

「一般病棟用の重症度,医療・看護必要度Ⅱ」についての「評価の手引き」が追加されて、これに基づいて評価されることになりました。

③判定基準の見直し

④許可病床数400床以上の保険医療機関における必要度Ⅱの要件化

⑤指導者研修に係る要件の見直し

厚生労働省 個別改定項目【PDF】

まとめ

看護必要度とは、患者の重症度により適切な看護サービスを提供できるように人員を適正に配置するための指標となります。必要な人員を配置するためには、患者に必要なサービスの量をはかることを要します。

そのため、看護必要度を適切に評価することが求められ、診療報酬の入院基本料の算出にも関わってくるため病院にとっても重要なことです。

評価者は2020年度に改定された看護必要度の項目や変更点に留意しながら、適切な評価を実施するようにしましょう。

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