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看護必要度とは何か?その定義と意味
看護必要度とは、患者に必要とされる看護サービスの量を数値化して評価する指標である。病院では患者の状態に応じて適切に看護師を配置する必要があるため、看護必要度は人員配置の根拠として活用されている。
例えば、自立度の高い患者と、モニタリングや頻回のケアを必要とする患者とでは、必要な看護サービスの量が大きく異なる。そのため、病院の機能や入院患者の重症度に応じて、必要な看護師数を算定する仕組みが導入されている。看護必要度を評価することによって、病院は「どの程度の看護師が必要か」を客観的に示すことができ、適正な配置計画につなげられる。
看護必要度は単に患者の重症度を測定するものではなく、「看護サービスの提供が実際に行われたか」を基準に評価される点に注意が必要である。
看護必要度の目的と役割
看護必要度の最大の目的は、病院における看護師の適正配置である。日本の医療制度では、入院基本料の算定に関連して「7対1」「10対1」といった配置基準が存在し、看護必要度はその根拠として用いられている。
患者7人に対して看護師1人を配置する「7対1」病院は、10対1の病院と比較してより手厚い看護を提供できるとされ、診療報酬の基本料が高く設定されている。つまり、看護必要度は病院の経営や診療報酬にも直結する重要な仕組みである。
看護必要度の評価と運用上の課題
看護必要度を正しく運用するためには、評価者が厳密な基準に基づいて判定を行うことが求められる。不適切な評価は入院基本料の算定に影響を与えるため、評価者の育成や定期的な研修が必須である。また、診療報酬改定ごとに評価項目や基準が変更されるため、最新の制度に対応する体制整備が必要となる。
2024年度診療報酬改定における看護必要度の変更点
2024年度の診療報酬改定では、看護必要度に関して以下の見直しが行われた。
1. 評価項目の整理と一部統合
従来のA・B・C項目のうち、実際の看護サービス提供の有無が明確でない部分が見直され、評価の簡素化と精緻化が進められた。特にA項目の一部処置やモニタリングに関する基準が改定され、実態をより反映する内容となった。
2. 「必要度Ⅱ」の要件強化
2020年から導入された「一般病棟用重症度、医療・看護必要度Ⅱ」について、2024年改定では評価基準がさらに厳格化された。特に許可病床数200床以上の病院において、必要度Ⅱの導入が実質的に必須とされ、より広範囲の病院での活用が求められるようになった。
3. 急性期医療における評価対象の見直し
救急搬送後の入院期間や大手術後の評価日数が再度調整され、患者の回復過程に応じた実態に即した評価が可能となった。特に外科系の大規模手術(開頭・開胸・開腹・骨手術など)の評価日数が延長され、看護負担の継続性を反映する形となっている。
4. 評価者研修と体制整備の要件化
評価の質を担保するため、評価者研修の受講と修了が必須とされ、院内での指導体制整備がより厳格に求められるようになった。看護管理者は、評価者の習熟度を把握し、定期的な更新教育を実施する責務を負う。
まとめ
看護必要度は、患者の重症度と看護サービスの提供状況を数値化し、適正な人員配置を行うための制度である。診療報酬改定にともない、評価基準は定期的に見直されており、2024年度改定では「必要度Ⅱの必須化」「急性期患者への評価期間の見直し」「評価者研修の強化」などが盛り込まれた。
病院においては、これらの改定内容を正しく理解し、評価の適正化を図ることが不可欠である。適切な看護必要度の運用は、診療報酬算定だけでなく、患者に対する質の高いケアの提供につながる。














