目次
- 1 【2026年最新版】重症度、医療・看護必要度 A項目「モニタリング及び処置等」の評価と変更点
- 1.1 A1 創傷処置
- 1.2 A2 蘇生術の施行
- 1.3 A3 呼吸ケア(喀痰吸引を除く)
- 1.4 A4 注射薬剤3種類以上の管理(※旧:点滴ライン同時3本以上の管理)
- 1.5 A5 心電図モニターの管理【2024年改定で削除】
- 1.6 A6 輸液ポンプの管理【2024年改定で削除】
- 1.7 A7 動脈圧測定(動脈ライン)
- 1.8 A8 シリンジポンプの管理
- 1.9 A9 中心静脈圧測定(中心静脈ライン)
- 1.10 A10 人工呼吸器の管理
- 1.11 A11 輸血や血液製剤の管理
- 1.12 A12 肺動脈圧測定(スワンガンツ)
- 1.13 A13 特殊な治療法等
- 1.14 A14 専門的な治療・処置
- 1.15 A15 救急搬送後の入院
- 2 まとめ:2024年版から2026年版で何がどう変わったのか?
【2026年最新版】重症度、医療・看護必要度 A項目「モニタリング及び処置等」の評価と変更点
A項目「モニタリング及び処置等」は、患者に対して日常的に実施されるモニタリングや医療処置に関して、看護師等が直接または医師の介助を通じて関与した場合に評価されるものです。
2024年度改定での大幅な適正化・厳格化を経て、2026年度(令和8年度)の診療報酬改定では、これまで評価されにくかった「内科的治療・処置」をより適正に評価するための項目の拡充が行われました。本稿では最新の改定内容に基づき、各項目を解説します。
A1 創傷処置
定義
創傷の処置を看護師等が医師の介助として実施、または自ら行った場合に評価します。現在はレセプト電算処理システム用コードにより評価されます。
※2024年改定により「褥瘡の処置」は評価対象から完全に除外されました。
判断基準
「なし」:処置を行わなかった場合
「あり」:創傷処置を実施した場合
留意点
縫合創は対象、縫合を伴わない穿刺創は除外。
気管切開口や胃瘻などは造設から抜糸まで、滲出液が見られ処置が必要な場合に含める。
VAC療法(陰圧閉鎖療法)は、誘導管を用いた場合のみ評価対象に含む。
A2 蘇生術の施行
定義
気管内挿管、気管切開術、人工呼吸器装着、除細動、心マッサージが蘇生目的で実施された場合に評価します。
留意点
手術室や救急外来での施行は含めない。
蘇生目的以外の人工呼吸器装着はA10で評価。
A3 呼吸ケア(喀痰吸引を除く)
定義
酸素吸入、体位ドレナージ、スクイージング、人工呼吸器装着中の換気確認・管理を行った場合に評価。
留意点
喀痰吸引のみは対象外。
NPPV(非侵襲的陽圧換気)は含む。
ネブライザー吸入、エアウェイ挿入は含めない。
A4 注射薬剤3種類以上の管理(※旧:点滴ライン同時3本以上の管理)
定義
3種類以上の注射薬剤を使用し、看護師等が管理した場合に評価します(※2024年改定により「点滴ラインの数」ではなく「薬剤の種類数」に変更されました)。
留意点
評価対象となる日数は最大7日間までに制限されています。
静脈栄養等、特定の薬剤構成による除外条件が設けられています。
A5 心電図モニターの管理【2024年改定で削除】
2022年改定まで評価対象でしたが、2024年度改定にて削除されました。必要度評価の得点化はされません。
A6 輸液ポンプの管理【2024年改定で削除】
2024年度改定にて削除されました。臨床での使用は継続されますが、看護必要度の算定には反映されません。
A7 動脈圧測定(動脈ライン)
定義
動脈ラインを介して直接動脈圧測定を行った場合に評価。
留意点
ICU/HCUでは継続的に行われるが、測定が確認できれば評価対象。
A8 シリンジポンプの管理
定義
シリンジポンプを用いた薬剤投与を看護師等が管理した場合に評価。
留意点
PCA使用時は、投与量と投与時間を看護師が管理している場合のみ対象。
A9 中心静脈圧測定(中心静脈ライン)
定義
中心静脈ラインを介して直接CVP測定を行った場合に評価。
留意点
スワンガンツによる測定も含む。
A10 人工呼吸器の管理
定義
人工呼吸器を使用して患者の換気管理を行った場合に評価。
留意点
NPPVを含む。看護師による管理記録が必須。
A11 輸血や血液製剤の管理
定義
輸血や血液製剤の投与後の状況を管理した場合に評価。
留意点
種類や単位数は問わない。血液透析は対象外。
A12 肺動脈圧測定(スワンガンツ)
定義
スワンガンツカテーテルを用いて直接肺動脈圧を測定した場合に評価。
A13 特殊な治療法等
定義
CHDF、IABP、PCPS、補助人工心臓、ICP測定、ECMO、IMPELLAなどを実施した場合に評価。
A14 専門的な治療・処置
定義
抗悪性腫瘍剤の使用、麻薬の使用、放射線治療、免疫抑制剤、昇圧剤、抗不整脈薬、抗血栓塞栓薬持続点滴、ドレナージの管理など、専門的処置を評価。
留意点(2026年改定での重要ポイント)
2026年度改定にて、「抗悪性腫瘍剤の使用」などをはじめとする対象治療や薬剤が大幅に追加・拡充されました。
レセプト電算処理システム用コードが新たに整備され、これまで評価から漏れがちだった内科系疾患における専門的処置がしっかりと点数化される仕組みに変更されています。
A15 救急搬送後の入院
定義
救急車またはドクターヘリで搬送され、直接病棟に入院した場合に評価。
留意点
評価対象日数は、搬送当日を含む2日間です(※2024年改定で5日間から2日間に短縮されました)。
一旦ICUや救命救急センターを経由した場合は対象外。
まとめ:2024年版から2026年版で何がどう変わったのか?
| 項目 | 2024年改定の着眼点(適正化・厳格化) | 2026年改定の着眼点(内科系評価の拡充) |
| A1 創傷処置 | 褥瘡の処置が完全除外された。 | (現行のレセプトコード評価を継続) |
| A4 注射薬剤 | 「点滴ライン3本」から「注射薬剤3種類」へ変更。上限7日間に制限。 | (現行の評価基準を継続) |
| A14 専門的処置 | 配点が一部3点に引き上げられるなど重症度をより評価する形に。 | 対象となる治療・薬剤(抗がん剤等)が大幅に追加・拡大され、レセプトコードで明確化された。 |
| A15 救急搬送 | 評価期間が「5日間」から「2日間」へ大幅短縮。 | (現行の評価基準を継続) |
| 全体的な傾向 | 外科系の手術患者が有利になり、内科系病棟では基準達成が厳しくなった改定。 | C項目(内科的治療の追加)との連動により、「手術のない内科系の重症患者」が正当に評価されるようシフトした。 |
📌 2026年改定の総括
2024年改定では「心電図モニター」や「輸液ポンプ」が削除され、A1やA4の条件も厳しくなったことで、「外科系の重症患者」以外を多く診る病棟には逆風でした。しかし、2026年改定ではその反動を補正する形で、A項目(A14等)およびC項目の対象となる内科的治療・処置が大幅に追加されています。また、「救急患者応需係数」などの新たな補正が導入されたことにより、内科系病棟や救急搬送を積極的に受け入れる病院が、基準値(急性期一般1で27%・34%等に引き上げ)を達成しやすくなるよう制度設計がシフトしています。

厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要」
全体概要版、および「入院(重症度、医療・看護必要度、救急患者応需係数等の新設・拡充に関する事項)」の個別改定項目資料。
厚生労働省「重症度、医療・看護必要度に係る評価票 評価の手引き(令和8年度版)」
項目ごとの定義、判断基準、留意事項、およびレセプト電算処理システム用コードの取り扱いに関する最新の運用ルールが網羅された公式マニュアル。
厚生労働省 令和8年度診療報酬改定関連通知
「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(通知)」における、急性期一般入院基本料等の施設基準(該当患者割合等)の改定部分。
実務向け解説・参考資料
日本看護協会「令和8年度診療報酬改定における看護関連の主な改定事項」
看護現場の負担軽減、内科的処置評価の拡充(A項目・C項目の連動)、救急患者の受け入れに関する評価等を現場向けに解説した実務資料。
医療経営・実務運用向け解説動画
前回の回答末尾で例示した「2026年改定 看護必要度と救急患者応需係数の解説」等の、改定の全体像や病棟ごとのシミュレーションをまとめたウェビナー・解説資料。











