看護必要度B項目「口腔清潔」を評価する
「口腔清潔」の定義と判断基準・留意点
項目の定義
口腔内を清潔にするための一連の行為が自分でできるかどうか、あるいは看護師等が見守りや介助を行っているかどうかを評価する項目である。
一連の行為とは、歯ブラシやうがい用の水等を用意する、歯磨き粉を歯ブラシにつける等の準備、歯磨き中の見守りや指示、磨き残しの確認等も含む。口腔清潔に際して、車椅子に移乗する、洗面所まで移動する等の行為は、口腔清潔に関する一連の行為には含まれない。
選択肢の判断基準
「できる」 口腔清潔に関する一連の行為すべてが自分でできる場合をいう。
「できない」 口腔清潔に関する一連の行為のうち部分的、あるいはすべてに介助が行われている場合をいう。
判断に際しての留意点
口腔内の清潔には、『歯磨き、うがい、口腔内清拭、舌のケア等の介助から義歯の手入れ、挿管中の吸引による口腔洗浄、ポピドンヨード剤等の薬剤による洗浄』も含まれる。
舌や口腔内の硼砂グリセリンの塗布、口腔内吸引のみは口腔内清潔に含まない。また、歯がない場合は、うがいや義歯の清潔等、口腔内の清潔に関する類似の行為が行われているかどうかに基づいて判断する。
ただし、口腔清潔が制限されていないにも関わらず、看護師等が口腔清潔を行わなかった場合は、「できる」とする。
「口腔清潔」を評価する場合に確認すべきこと
「口腔清潔」の項目を判断する際に注意したいのは、「一連の行為」という部分です。一連の行為とは歯ブラシやうがい用の水等を用意する、歯磨き粉を歯ブラシにつける等の準備、歯磨き中の見守りや指示、磨き残しの確認などのことです。
つまり、「歯ブラシを使用して歯が磨ける」とか「うがいができる」などの部分的な行為だけではなく、口腔清潔のためにすべき行為が流れとしてできるか否かが判断基準となります。
この「一連の行為」を一人ですべて行えるかどうかが問われている項目なのです。
もしも一部介助が必要であるなら、必要度の評価は「できない」となります。
また、間違えやすいポイントとしては、口腔清潔のために洗面所まで移動するなどの行為は「一連の行為」には含まれないことです。あくまでも判断するのは「一連の行為」ができるかどうかです。もしも、洗面所までの移動に介助を要したとしても口腔清潔のために「一連の行為」が一人でできるなら、必要度の評価は「できる」になるということです。
看護必要度B項目「食事摂取」を評価する
「食事摂取」の定義と判断基準・留意点
項目の定義
食事介助の状況を評価する項目である。ここでいう食事摂取とは、経口栄養、経管栄養を含み、朝食、昼食、夕食、補食等、個々の食事単位で評価を行う。中心静脈栄養は含まれない。
食事摂取の介助は、患者が食事を摂るための介助、患者に応じた食事環境を整える食卓上の介助をいう。厨房での調理、配膳、後片付け、食べこぼしの掃除、車椅子に座らせる、エプロンをかける等は含まれない。
選択肢の判断基準
「介助なし」介助・見守りなしに自分で食事が摂取できる場合をいう。箸やスプーンのほかに、自助具等を使用する場合も含まれる。食止めや絶食となっている場合は、介助は発生しないので「介助なし」とする。
「一部介助」必要に応じて、食事摂取の行為の一部を介助する場合をいう。また、食卓で食べやすいように配慮する行為(小さく切る、ほぐす、皮をむく、魚の骨をとる、蓋をはずす等)が行われている場合をいう。必要に応じたセッティング(食べやすいように配慮する行為)等、食事中に1つでも介助すれば「一部介助」とする。見守りや指示が必要な場合も含まれる。
「全介助」自分では全く食べることができず全面的に介助されている場合をいい、食事開始から終了までにすべてに介助を要した場合は「全介助」とする。
判断に際しての留意点
食事は、種類は問わず、一般(普通)食、プリン等の経口訓練食、水分補給食、経管栄養すべてをさし、摂取量は問わない。経管栄養の評価も、全面的に看護師等が行っている場合は「全介助」となり、患者が自立して1人で行った場合は「介助なし」となる。ただし、経口栄養と経管栄養のいずれも行っている場合は、「自立度の低い方」で評価する。
家族が行った行為、食欲の観察は含めない。また、看護師等が行う、パンの袋切り、食事の温め、果物の皮むき、卵の殻むき等は「一部介助」とする。セッティングしても患者が食事摂取を拒否した場合は「介助なし」とする。
「食事摂取」を評価する場合に確認すべきこと
食事摂取を評価する際のポイントとなるのは、この項目で問われる「介助」というものをどのように理解するかです。
食事摂取での「介助」とは、食事を摂るための介助と患者の状況に応じた食事環境を整えることを指します。厨房での調理や配膳、あるいは食べこぼしの掃除や後片付けなどは含まれないので注意が必要です。
また、食事を摂るために移動を要する場合も、移動のために介助を要しても「食事摂取」の項目で問われる「介助」には含まれないので注意しましょう。
看護必要度B項目「衣服の着脱」を評価する
「衣服の着脱」の定義と判断基準・留意点
項目の定義
衣服の着脱を看護師等が介助する状況を評価する項目である。衣服とは、患者が日常生活上必要とし着用しているものをいう。パジャマの上衣、ズボン、寝衣、パンツ、オムツ等を含む。
選択肢の判断基準
「介助なし」 介助なしに自分で衣服を着たり脱いだりしている場合をいう。また、当日、衣服の着脱の介助が発生しなかった場合をいう。自助具等を使って行っている場合も含む。
「一部介助」 衣服の着脱に一部介助が行われている場合をいう。例えば、途中までは自分で行っているが、最後に看護師等がズボン・パンツ等を上げている場合等は、「一部介助」に含む。看護師等が手を出して介助はしていないが、転倒の防止等のために、見守りや指示が行われている場合等も「一部介助」とする。
「全介助」 衣服の着脱の行為すべてに介助が行われている場合をいう。患者自身が、介助を容易にするために腕を上げる、足を上げる、腰を上げる等の行為を行っても、着脱行為そのものを患者が行わず、看護師等がすべて介助した場合も「全介助」とする。
判断に際しての留意点
衣服の着脱に要する時間の長さは判断には関係しない。通常は自分で衣服の着脱をしているが、点滴が入っているために介助を要している場合は、その介助の状況で評価する。
「衣服の着脱」を評価する場合に確認すべきこと
衣服の着脱で判断する「衣服」とは、患者が日常生活上必要とし着用しているものをいいます。また、衣服の着脱を評価する基準には、パジャマの着脱だけでなく、パンツやオムツの着脱も含まれます。
間違えやすいポイントとしては「くつ下」です。これに関しても患者が日常生活で必要としているなら含まれます。
また、患者が着替えの際に自助具を使用している場合は、一人で行えているのであれば「介助なし」という評価になります。
まとめ
看護必要度B項目は患者のADLを判断する項目です。そのため、判断基準は原則的に「介助が必要かどうか」を問われます。
しかし注意が必要なのは、各項目で問われている「介助」の定義をしっかり理解せずに判断することです。例えば口腔清潔なら「口腔清潔」を行う際に介助が必要かを問われているのであり、洗面台までの移動に介助が必要かを問われているのではありません。
看護必要度の評価を行う際には、各項目で問われている判断基準をしっかり理解した上で評価を実施しましょう。