目次
看護必要度A項目「創傷処置」を評価する
項目の定義
創傷処置は、①創傷の処置(褥瘡処置を除く)、②褥瘡の処置のいずれかの処置について、看護師等が医師の介助をした場合、あるいは看護師等が自ら処置を実施した場合に評価する項目である。
判断基準
「なし」 創傷処置のいずれも実施しなかった場合をいう。
「あり」 創傷処置のいずれかを実施した場合をいう。
留意点
創傷処置に含まれる内容は、各定義及び留意点に基づいて判断すること。
①「創傷処置(褥瘡処置を除く)」を評価する
「創傷処置(褥瘡処置を除く)」の定義
創傷の処置(褥瘡処置を除く)は、創傷があり、創傷についての処置を実施した場合に評価する項目である。
「創傷処置(褥瘡処置を除く)」の留意点
ここでいう創傷とは、皮膚・粘膜が破綻をきたした状態であり、その数、深さ、範囲の程度は問わない。
縫合創は創傷処置の対象に含めるが、縫合のない穿刺創は含めない。粘膜は、鼻・口腔・膣・肛門の粘膜であって、外部から粘膜が破綻をきたしている状態であることが目視できる場合に限り含める。気管切開口、胃瘻、ストーマ等の造設から抜糸まで、及び、滲出が見られ処置を必要とする場合は含めるが、瘻孔として確立した状態は含めない。
ここでいう処置とは、創傷の治癒を促し感染を予防する目的で、洗浄、消毒、止血、薬剤の注入・塗布、ガーゼ・フィルム材等の創傷被覆材の貼付・交換等の処置を実施した場合をいい、診察、観察だけの場合やガーゼを剥がすだけの場合は含めない。また、VAC 療法(陰圧閉鎖療法)、眼科手術後の点眼及び排泄物の処理に関するストーマ処置は含めない。
② 「創傷処置(褥瘡の処置)」を評価する
「創傷処置(褥瘡の処置)」の定義
褥瘡の処置は、褥瘡があり、褥瘡についての処置を実施した場合に評価する項目である。
「創傷処置(褥瘡の処置)」の留意点
ここでいう褥瘡とは、NPUAP 分類Ⅱ度以上又は DESIGN-R 分類 d2 以上の状態をいう。この状態に達していないものは、褥瘡処置の対象に含めない。
ここでいう処置とは、褥瘡に対して、洗浄、消毒、止血、薬剤の注入・塗布、ガーゼ・フィルム材等の創傷被覆材の貼付・交換等の処置を実施した場合をいい、診察・観察だけの場合やガーゼを剥がすだけの場合は含めない。また、VAC 療法(陰圧閉鎖療法)は含めない。
看護必要度A項目「呼吸ケア」を評価する
項目の定義
呼吸ケアは、酸素吸入、痰を出すための体位ドレナージ、スクウィージングのいずれかの処置に対して、看護師等が自ら行うか医師の介助を行った場合、あるいは人工換気が必要な患者に対して、看護師等が装着中の人工呼吸器の管理を行った場合に評価する項目である。
選択肢の判断基準
「なし」 呼吸ケアを実施しなかった場合をいう。
「あり」 呼吸ケアを実施した場合をいう。
判断に際しての留意点
喀痰の吸引のみの場合は呼吸ケアの対象に含めない。呼吸ケアにおける時間の長さや回数は問わない。酸素吸入の方法は問わない。
人工呼吸器の種類や設定内容、あるいは気道確保の方法については問わないが、看護師等が、患者の人工呼吸器の装着状態の確認、換気状況の確認、機器の作動確認等の管理を実施している必要がある。
また、人工呼吸器の使用に関する医師の指示が必要である。 NPPV(非侵襲的陽圧換気)の実施は含める。なお、気管切開の患者が喀痰吸引を行っているだけの場合は含めない。
また、エアウェイ挿入、ネブライザー吸入は呼吸ケアには含めない。
まとめ
「創傷処置」のまとめ
創傷処置については、褥瘡処置の有無によって内容が異なるので注意が必要です。また、褥瘡については全てが対象になるのではなく、NPUAP 分類Ⅱ度以上又は DESIGN-R 分類 d2 以上の状態が対象になります。
NPUAP 分類Ⅱ度以上
「スラフを伴わない、赤色または薄赤色の創底をもつ、浅い開放潰瘍として現れる真皮の部分欠損。破れていないまたは開放した/破裂した血清で満たされた水疱として現れることがある」以上DESIGN-R 分類 d2 以上
「真皮までの損傷」以上
「呼吸ケア」のまとめ
呼吸ケアの評価で注意が必要なのは、エアウェイ挿入、ネブライザー吸入は呼吸ケアには含めないことです。
また、喀痰の吸引のみの場合は呼吸ケアの対象に含まれないので注意が必要です。
そして、看護師等が、患者の人工呼吸器の装着状態の確認、換気状況の確認、機器の作動確認等の管理を実施している必要になります。