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ハザードとは何か?その意味と定義

ハザードの意味と定義~日本語と英語による曖昧さ
ハザード(hazard)とは日本語では主に「危険」のことをいいます。日本語における危険とは、「危うさ」や「悪い結果」という意味を含んでいます。
一方で英語には「hazard」の他に「danger」「risk」「peril」など危険を表現する言葉が複数あります。また、英語におけるハザード(hazard)には「偶然」「運」という意味も含んでいます。
そのためハザード(hazard)の定義は、「悪い結果になるかはわからないが、その可能性がある」という意味であり、人やモノなどに対して危害や損害を与える可能性のある現象もしくは行為のことをいいます。
ただし、日本ではハザードのことを「危険」あるいは「危険がある」という意味で使われることが一般化しており、必ずしも英語のように偶然や運をさす言葉ではないので注意が必要です。また、日本ではハザードとリスクの区別があまりハッキリしないまま使われていることも多いため、次の項ではハザードとリスクの違いを解説していきます。
ハザードとリスクの違い

ハザードとリスクの違いを解説するには、まずリスクの意味を理解しておくことが大切です。
リスクの意味
リスクとは望ましくない出来事あるいは状態になる可能性とその影響の度合をいいます。
リスク = 発生可能性 × 影響度
また、リスクは上記の式で確率を測定できるものをいい、測定できないものは不確実性といいます。確率を測定できるものと不確実性を含めてリスクと呼ぶ場合もありますが、米国の経済学者であるフランク・ナイトは測定できるものとできないものを明確に区別すべきと主張しています。
ハザードとリスクの違い
それではハザードとリスクはどう違うのかというと、ハザードというのは危険が発生するのか不確かであるのに対して、リスクはその不確かさを確率的に計測できるものであるということです。
ハザードに接近するほどリスクが高まります。逆にハザードから遠ざかるほどリスクは低くなっていきます。リスクが高まるとは、人やモノなどに対して危害や損害を与える可能性のある現象もしくは行為が発生する確率が高まるということです。ただ注意が必要なのは、ハザードはこちらが接近しようと遠ざかろうと、ハザードの側から迫ってくることもあるということです。
つまりリスクとは、そもそもハザードを認識していなければ認知できないということでもあります。ハザードを認識していないなら、そもそもリスクを認知する対象がないからです。人は危険の存在を知らなければリスクを感じません。であるなら当然、確率も計測しません。
逆にハザードは、リスクを認知していても、していなくても、存在しうるものです。例えば、まだ物事がわからない幼児が何のリスクを感じないまま、危険物を口にしようとしたとします。この場合、幼児はリスクを感じていませんが、危険は存在するわけです。
ようするに、リスクはハザードの存在を前提としているのです。
それでは次にハザードという言葉が使われている事例を解説していきます。
ハザードの事例~ハザードランプとハザードマップ

ハザードランプ
ハザードという言葉でもっとも馴染みがあるのはハザードランプだと思います。「ハザード」と短縮して使われることも多いものです。
ハザードランプは元々の名前は「非常点滅表示灯」といいます。緊急で停車した場合、後続の車両に注意を促して危険を回避する目的などで使用するものです。
ハザードという言葉を使用される理由は、まさに「危険」を周囲に知らせ、その危険を回避するために存在するからです。危険というのは認知できなければリスクが高まります。なぜなら危険を知らずに安易に近づいた場合、衝突する可能性があるためです。
この例でもわかるように、危険というものは、認識することが非常に重要です。
ハザードマップ
もう一つの例としてはハザードマップがあります。ハザードマップとは、自然災害が発生した場合の被害や損害を予測して地図上に被害の範囲等を示すものです。被害予測地図とも呼ばれています。
またハザードマップには、自然災害が発生した場合において避難すべき場所なども示されていることが多く存在します。
本来ハザードの意味では、確率を計測できるものも計測できないものも含みます。しかし一方で、ハザードマップのように事前に予測されるものもハザードという言葉が使用されています。
このことからわかるのは、ハザードは予測されるものだけで判断するだけでは不十分であり、予測できないことも起こりえることを想定しておくことも大切だということです。
まとめ
ハザードとは、悪い結果になるかはわからないが、その可能性があるという意味であり、人やモノなどに対して危害や損害を与える可能性のある現象もしくは行為のことをいいます。
つまり不確定な要素であり、それが実際に危害もしくは損害を与えると決まっているわけではありません。しかし、注意が必要なのは、不確定な要素だからこそ油断したり判断を誤ることもあるという点です。
そのためハザードを理解するためには、不確定なものとしつつも、常に起こりうる危険という認識を忘れないことが重要です。