クライシスマネジメント(危機管理)とは~リスクマネジメントとの違い

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クライシスマネジメント(危機管理)とは何か?

クライシスマネジメント(危機管理)の意味と定義

クライシスマネジメント(crisis-management)とは、人あるいは組織が危機的な事態に直面したとき、どのような対応をするのかを管理することです。クライシス(crisis)とは「危機」のことであり、マネジメント(management)は「管理」することであるため、危機管理とも呼ばれています。

「クライシス(crisis)」の語源は「将来を左右する分岐点」であり、クライシスマネジメントとはまさに、危機的な事態が発生してからの対応によって将来を左右することでもあります。
クライシスマネジメント(危機管理)とは何かという意味と定義を解説した図

クライシスマネジメントにおいて「分岐点」は複数存在します。図で示したように、危機発生から初期対応もしくは緊急復旧、そして定常復旧へと続いていきます。これら一連の対応を総じて「クライシスマネジメント(危機管理)」というわけです。

  1. 危機の発生
  2. 初期対応
  3. 緊急復旧
  4. 定常復旧

「復旧」とは平常状態への回復を意味しています。

クライシスマネジメント(危機管理)の目的

クライシスマネジメント(危機管理)は危機的な事態が発生した場合、可能な限り迅速かつ適切な対応をとることで、平常状態へ復旧させることを目的としています。しかしここで注意が必要なのは、危機的な事態が発生した場合の事後対応が目的であるとはいえ、危機が発生する前に予め対応を検討しておく必要がある点です。

あくまでもクライシスマネジメントは危機発生前の平常時に、危機発生後の対応を検討しておくことが大切です。

また、リスクマネジメントと混同して理解されていることが多く、クライシスマネジメントとの違いを理解しておくことも重要になります。次の項ではリスクマネジメントとの違いを解説していきます。

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クライシスマネジメントとリスクマネジメントの違い

クライシスマネジメント+リスクマネジメント=危機管理

一般的にはクライシスマネジメントという言葉よりも、リスクマネジメントの方が馴染みのある言葉だと思います。そもそも「危機管理」という言葉がリスクマネジメントと同義として扱われていることが多いと感じます。

しかし、本来は「危機」というのは「クライシス(crisis)」をさす言葉であり、厳密に言うとリスクマネジメントを危機管理と呼ぶにはやや違和感があります。

クライシスマネジメントとリスクマネジメントの最大の違いは、何をマネジメントするかの違いにあります。以下の図はその違いを可視化した図になります。

クライシスマネジメント(危機管理)とリスクマネジメントの違い

この図で示すように、クライシスマネジメントとは「危機」が発生した場合のマネジメントです。一方でリスクマネジメントとは、広義にはリスクを管理するものであると同時に、クライシス(危機)を管理することも含みます。

そもそもリスクマネジメントとは、「危機を発生させない」ように管理することをいいます。言い換えればリスクとは「危機が発生する可能性もしくは発生した場合の影響度」であり、クライシスとは「危機が発生した場合」のことです。

つまり、リスクマネジメントとはクライシス(危機)を発生させない管理であると同時に、クライシス(危機)が発生した場合の管理でもあるということです。広義にはリスクマネジメントとはクライシスマネジメントを含み、狭義にはクライシス(危機)を発生させないための管理だといえます。

いずれにしても、これらの管理を総称して「危機管理」といいます。

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クライシスマネジメントの事例~医療の例

クライシスマネジメントの事例として医療現場におけるアクシデントを例に解説したいと思います。

クライシスマネジメント(危機管理)の例となる医療の事例を解説した図

例えば病院に入院している患者が、移動中に転倒する事故が発生した場合のマネジメントをするとします。

患者の転倒による事故は、多くの医療機関でたびたび発生しており、事前に想定できる事故でもあります。そのため、そのような事故が発生した場合に、病院としてどのような対応をするのかを事前に検討しておくことが重要になります。

患者の転倒によって患者がケガをする事故が発生するということは、何も問題のない平常状態からの逸脱を意味します。そのため、まず患者の転倒による事故が発生した場合に、医療従事者が初期対応としてどのような対応をするのかを事前に取り決めておきます。

例えば、患者の転倒による事故が発生した場合の報告体制、スタッフの役割などです。また、応急処置を要する場合の対応、応急処置をした後に必要な対応などを想定しておきます。

クライシスマネジメントの視点でみると、いかに迅速かつ適切な対応を実施して、患者の健康と生命を守るかということ。そして、いかにして再び平常状態を回復させるのかが主眼となります。

もちろん、そもそも患者が転倒しないように、未然防止に努めることは大切なことです。しかし、それは平常状態の中で行うリスクマネジメントの範疇であり、実際に危機が発生してしまった場合の対応を管理することがクライシスマネジメントの目的なのです。

クライシスマネジメントを行う際に注意が必要なのは、そもそもリスクマネジメントによって「事故を発生させない」という管理を行っているのに、事故後の対応を想定することがナンセンスだとする硬直した思考です。

クライシスマネジメントは、前提として事故が発生すること、人は間違える行動特性を備えていることを認識することから始まります。ある意味では柔軟な対応が求められる管理であり、想定できるすべてのことが管理の対象となります。

また、場合によっては想定できない事態が発生した場合の対応を管理することも必要になるかもしれません。大切なことは、危機が発生した場合の対応を、いかに危機が発生する前にシミュレートできるかにあります。クライシスマネジメントの質は、平時から行うリスクマネジメントの質に従属するのです。

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