A項目「モニタリング及び処置等」は、患者に対して日常的に実施されるモニタリングや医療処置に関して、看護師等が直接または医師の介助を通じて関与した場合に評価されるものです。2024年度の診療報酬改定により、評価項目の見直しや削除が行われました。本稿では最新の改定内容に基づき、各項目を解説します。
目次
A1 創傷処置
定義
①創傷の処置(褥瘡処置を除く)、②褥瘡の処置のいずれかを、看護師等が医師の介助として実施、または看護師等が自ら行った場合に評価します。
判断基準
「なし」:いずれの処置も行わなかった場合
「あり」:いずれかの処置を実施した場合
留意点(改定後)
縫合創は対象、縫合を伴わない穿刺創は除外。
気管切開口や胃瘻などは造設から抜糸まで、滲出液が見られ処置が必要な場合に含める。
VAC療法(陰圧閉鎖療法)は、誘導管を用いた場合のみ評価対象に含む(2024年明確化)。
褥瘡はNPUAP分類Ⅱ度以上またはDESIGN-R2020分類d2以上が対象。
A2 蘇生術の施行
定義
気管内挿管、気管切開術、人工呼吸器装着、除細動、心マッサージが蘇生目的で実施された場合に評価します。
留意点
手術室や救急外来での施行は含めない。
蘇生目的以外の人工呼吸器装着はA10で評価。
A3 呼吸ケア(喀痰吸引を除く)
定義
酸素吸入、体位ドレナージ、スクイージング、人工呼吸器装着中の換気確認・管理を行った場合に評価。
留意点
喀痰吸引のみは対象外。
NPPV(非侵襲的陽圧換気)は含む。
ネブライザー吸入、エアウェイ挿入は含めない。
A4 点滴ライン同時3本以上の管理
定義
持続的に3本以上の点滴ラインを同時に使用し、看護師等が管理した場合に評価。
留意点
三方活栓で分岐していれば本数に含む。
PCA(自己調節鎮痛法)は管理を伴う場合のみ含む。
A5 心電図モニターの管理【2024年改定で削除】
改定内容
2022年改定まで評価対象だった「心電図モニターの管理」は、2024年度改定にてA項目から削除されました。今後は他の管理記録に含められるが、必要度評価の得点化はされません。
A6 輸液ポンプの管理【2024年改定で削除】
改定内容
従来は末梢静脈・中心静脈等への投与を輸液ポンプで管理した場合に評価していましたが、2024年度改定で削除されました。輸液ポンプの使用そのものは臨床で継続されるものの、看護必要度の算定には反映されません。
A7 動脈圧測定(動脈ライン)
定義
動脈ラインを介して直接動脈圧測定を行った場合に評価。
留意点
ICU/HCUでは継続的に行われるが、測定が確認できれば評価対象。
A8 シリンジポンプの管理
定義
シリンジポンプを用いた薬剤投与を看護師等が管理した場合に評価。
留意点
PCA使用時は、投与量と投与時間を看護師が管理している場合のみ対象。
A9 中心静脈圧測定(中心静脈ライン)
定義
中心静脈ラインを介して直接CVP測定を行った場合に評価。
留意点
スワンガンツによる測定も含む。
A10 人工呼吸器の管理
定義
人工呼吸器を使用して患者の換気管理を行った場合に評価。
留意点
NPPVを含む。
看護師による管理記録が必須。
A11 輸血や血液製剤の管理
定義
輸血や血液製剤の投与後の状況を管理した場合に評価。
留意点
種類や単位数は問わない。
血液透析は対象外。
A12 肺動脈圧測定(スワンガンツ)
定義
スワンガンツカテーテルを用いて直接肺動脈圧を測定した場合に評価。
A13 特殊な治療法等
定義
CHDF、IABP、PCPS、補助人工心臓、ICP測定、ECMO、IMPELLAなどを実施した場合に評価。
A14 専門的な治療・処置
定義
抗がん剤治療、麻薬の使用、放射線治療、免疫抑制剤、昇圧剤、抗不整脈薬、抗血栓塞栓薬持続点滴、ドレナージの管理など、専門的処置を評価。
留意点(2024改定)
項目内容は大きく維持。
内服管理や与薬の記録が厳格に求められるように整理。
A15 救急搬送後の入院
定義
救急車またはドクターヘリで搬送され、直接病棟に入院した場合に評価。
留意点
搬送当日を含む5日間が対象。
一旦ICUや救命救急センターを経由した場合は対象外。
まとめ:2024年改定での主な変更点(A項目)
| 項目 | 改定前(2022) | 改定後(2024) |
|---|---|---|
| A5 心電図モニター | 評価対象 | 削除 |
| A6 輸液ポンプの管理 | 評価対象 | 削除 |
| A1 創傷処置 | VAC療法は原則除外 | 誘導管併用時は含むと明確化 |
| その他 | 項目内容は継続 | 評価要件の記録基準がより厳格化 |
📌 2024年改定では、A項目の中でも汎用的に多くの患者に実施される「心電図モニター管理」「輸液ポンプ管理」などが削除され、より重症度判定に資する処置のみに整理されました。これにより、看護必要度は「重症患者をより的確に抽出する」方向にシフトしています。
参考:
厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要」
厚生労働省「重症度、医療・看護必要度に係る評価票 評価の手引き」












