出来事流れ図~書き方と作成方法を事例をつかって解説

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出来事流れ図とは~意味と目的

「出来事」とは何か?

出来事流れ図の「出来事」とは人間の行動や事実として展開した一つ一つの事象のことです。そしてこれら一つ一つの出来事が時系列にどのように繋がっていったのかという流れを可視化するのが「出来事流れ図」になります。

出来事とは「事実」と言い換えることもできます。

つまり出来事流れ図の「出来事」とは、インシデントやアクシデントに至るまでの事実の内容を示すものです。

出来事流れ図の目的

出来事流れ図を作成する主な目的は、インシデントあるいは事故に至った経緯を明確にして可視化することによって、問題の本質を把握することにあります。そうすることによって、再発を防止するための分析をスムーズに行えるようになります。

出来事流れ図を作成することによって、普段あまり意識することのない問題点に気づいたり、改善すべき業務の内容などが見えてくることもあります。いずれにしても大切なのは、人間の行動を振り返るだけでなく、その行動の結果としてどのような事象が発生したのかを理解することです。

また、インシデントや事故の再発を防止するために実施するRCA(根本原因分析)を行う上で、出来事流れ図の作成は極めて重要な作業でもあります。関係した人間の行動や発生した事象を正確に把握することによって、根本的な原因を特定することができ、その上で真に有効な対策を行うことができるからです。

この記事では出来事流れ図を作成する際のポイントと注意点を解説していきます。

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出来事流れ図の書き方と作成のポイント

出来事は一つずつ書く

出来事流れ図を作成するには、まず出来事を一つ一つ整理していくことが必要になります。

当該インシデント(もしくは事故)が発生した経緯を明確にするため、その結果に至った出来事を明記していきます。手書きで図を作成する際には、付箋に出来事を書いていきます。その際にポイントとなるのは一枚の付箋には一つの出来事を書くことです。

出来事流れ図の書き方を解説した図

一枚の付箋に複数の出来事を書いてしまうと、出来事の内容がわかりづらくなったり、出来事の内容が本来あった出来事と違って見える可能性があるためです。そのため、付箋には必ず出来事を一つずつ書くようにしましょう。

「出来事」として書くべき事項

出来事と共に記載すべき事項としては以下のものがあります。

  1. 出来事の「時刻」を書く
  2. 出来事に関係した人物を書く
  3. 「どこで行った」のかという場所を書く
  4. 「何を行ったのか」を明確に書く
  5. 「どのように行った」のかを書く
  6. 「なぜ行った」のかを書く
  7. 上記の結果「どうなったのか」の事実を書く

つまり、「いつ」「誰が」「誰に」「どこで」「何を」「どのように」「なぜ」行い、「どうなった」のかという事実を可能な限り記載します。

人間の行動と事実を色分けする

「出来事」とは人間の行動だけでなく、その行動によって変化した状況あるいは状態なども事実として捉えることができます。例えば前述した出来事として書くべき事項における「どうなったのか」という部分は、人間の行動の結果として変化した状況や状態をいいます。

そのため、人間の行動とその結果として変化した事実を色分けして、わかりやすく区別しておくことも後々の分析に役立ちます。

出来事流れ図の書き方を解説した図

ただ注意が必要なのは、人間の行動に対して即座に変化が表れないような場合です。例えば医療における薬剤の取り違えなどの事故の場合、その結果としてすぐに患者に症状として変化がみられない場合もあります。

重要なのは、事後的に振り返ってみると変化がわかる場合でも、リアルタイムには事実に気づかないまま物事が進行していた可能性があることを考慮しておくことです。それを踏まえた上で、事実として行っていた出来事を正確に把握できるように記入していくことが大切になります。

時系列に並べる際には「つながり」に注意

出来事を一つずつ書くことができたら、次にその出来事がどのような経過で進行していったかが理解できるように時系列に並べていきます。

その作業を行う際に重要なのは、「出来事」と「出来事」の「つながり」に注意することです。いくら正確に出来事を一つずつ書くことができても、その出来事が次の出来事と「つながって」いなければ意味がありません。

いわば「つながり」とは「出来事と出来事」の「と」の部分への着目です。

出来事流れ図を書く際のポイントと注意点

出来事流れ図で重要なのは、出来事だけでなく「流れ」です。そのため出来事につながりがなければ、何かを見落としてる可能性があります。

出来事を時系列に並べる際には、人間の行動や事実が流れとして繋がっているかを十分に注意しながら作成するようにしましょう。

それでは次に具体的な出来事流れ図の例をみていきましょう。

出来事流れ図の事例

出来事を時系列に並べる例

基本的に出来事流れ図は時系列に事実を並べていき、当該インシデントや事故に至った経緯を理解できるように作成していきます。

出来事流れ図の事例①

いわば最終的に至ったインシデントや事故は「出来事の最終的な結果」です。これを「頂上事象」といいます。

つまり、この頂上事象に至った具体的な経緯を明確にするために図を作成するわけです。原則的に出来事流れ図では、なぜインシデントや事故に至ったかという因果関係の分析を行いません。

出来事流れ図の作成で重要なのは事実を正確に把握することです。そのため、分析を実施するための情報収集と整理をすることが役割といえます。

しかし、事態に緊急性があり、時間を短縮して事実の把握から分析、そして対策を実施することを要することもあります。その場合には次のような方法で作成する場合もあります。

出来事から原因を掘り下げる例

緊急性がある場合や時間を短縮して分析を行う必要がある場合には、出来事流れ図の作成と事故原因の特定を同時に実施することもあります。

まずインシデントや事故に至った主な出来事を抽出して流れを把握していきます。そしてそれら主な出来事を「なぜ」行ったのか、あるいは「なぜ」そのような出来事が発生したのかを掘り下げていきます。

出来事流れ図の事例②

そして根本的な原因を特定して、すみやかに原因への対策を行います。

本来は出来事流れ図を詳細に作成した上で、「なぜなぜ分析」を行い根本原因を特定することが望ましいですが、一つ一つのインシデントや事故に対して図を作成したり、分析を行うのは時間的にも厳しい場合もあると思われます。

また、すぐに対策を実施しなければ事故の再発が見込まれる場合などには、正確性と共にスピードが重要なときもあります。そのため、迅速な対応が求められる場合には、出来事の把握と同時に事故原因の特定を行うことも考慮する必要があります。

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適切な行動か不適切な行動かの判断基準の例

出来事流れ図の作成によって把握できた経緯に基づいて、どの出来事に問題があったのかを判断する基準例が以下の図です。次の図は人間の行動に対する基準例となります。

出来事流れ図を作成例を解説

例えば関与したスタッフの行動が「標準作業どおりの行動」であったにもかかわらず事故が発生した場合、あくまでもスタッフの行動は「適切な行動」となります。なぜなら「標準どおりの行動」をしているからです。

このような場合、問題があるのはスタッフの行動以前に「標準作業」としている取り決めやマニュアルの問題が考えられます。

また、「標準どおりの行動」を行っていない場合であっても、標準作業を逸脱せざるを得ない状況であり、なおかつ予測不能で他の選択肢が無かった場合などでは、スタッフが不適切な行動をとったと言い切れない場合もあります。このような場合でもやはり、標準作業とされる取り決めやマニュアルに不備があるなどの改善点が存在する可能性があります。

このように、出来事流れ図によって可視化された事実の流れから、何を問題として分析を進めるかは非常にわかりずらい面もあります。しかし、問題を誤って認識した場合、その後の分析、そして対策が「誤った問題に対する答えさがし」になってしまいかねません。

そのため、出来事流れ図の作成によって事実を正確に把握することと同様に重要なことは、把握した事実から何を問題として特定するかです。再発を防止するために真に有効な対策を行うためには、出来事という事実の中から正確に問題を特定する必要があるのです。

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