ノンテクニカルスキル~「状況認識」と「意思決定」

木の枝にのるフクロウ

この記事ではノンテクニカルスキルの「状況認識」と「意思決定」について解説します。

ノンテクニカルスキルのカテゴリーと種類を解説した図

はじめに

安全性と効率性を同時に確保することは最重要課題の一つである。高度に複雑化した社会システムでは、単に優れた技術力や専門知識(テクニカルスキル)を有しているだけでは、リスクを完全に回避し、安定した成果を保証することは難しい。特に医療、航空、原子力、製造、建設といった高リスク産業においては、事故やインシデントの多くが「技術不足」ではなく、人間の認知・判断・協働といった非技術的側面の脆弱さに起因していることが数多く報告されている。

ここで注目されるのが、ノンテクニカルスキル(Non-Technical Skills: NTS)である。NTSは「人間が環境や他者と効果的に相互作用するために必要なスキル群」を指し、具体的には状況認識、意思決定、コミュニケーション、チームワーク、リーダーシップなどが含まれる。これらは直接的に機械を操作したり技術を駆使するスキルではないが、安全性やパフォーマンスを大きく左右する。

特に、状況認識(Situational Awareness)と意思決定(Decision Making)は、他のすべてのNTSを支える「基盤的スキル」である。なぜなら、リーダーシップもチームワークも、そもそも正しい状況把握がなければ機能せず、また意思決定の誤りはチーム全体の努力を水泡に帰すからである。

ハーバード大学や欧州航空安全機関(EASA)などの研究によれば、重大な事故やインシデントの多くは「直接的な技術の未熟さ」よりも、誤った状況認識や不適切な意思決定に根本的原因があるとされている(Reason, 1990; Flin et al., 2008)。つまり、「見るべき情報を見落とした」「本質的な意味を誤解した」「将来を正しく予測できなかった」といった初期段階のエラーが、その後の誤判断や誤行動へと連鎖していくのである。

本稿では、まず状況認識の概念と3つの階層モデルを整理し、その重要性を明らかにする。次に、それを基盤として行われる意思決定プロセスを解説する。さらに、医療・航空・建設など各産業の実践事例や教育訓練の方法を示し、最後に今後の展望を考察する。これにより、読者が「なぜ状況認識と意思決定が安全文化の根幹なのか」を包括的に理解できるように構成している。

ノンテクニカルスキルにおける状況認識とは

状況認識の定義

状況認識(Situational Awareness: SA)とは、単なる「情報収集」ではなく、環境から得られる情報を統合し、その意味を理解し、将来の展開を予測する能力を指す。米国空軍出身の研究者Mica Endsley(1995)は、状況認識を次の3つの階層で説明している。

  1. 知覚(Perception):関連する情報を収集・認識する段階。

    • 計器の数値、患者のバイタルサイン、作業現場の騒音や振動など、外部から直接得られる情報を正しく「拾う」ことにあたる。

  2. 理解(Comprehension):収集した情報を意味づけ、全体像を把握する段階。

    • 単なる数値や現象を「何を意味するのか」と解釈し、他の情報と関連付けて状況を正しく理解する。

  3. 予測(Projection):現在の状況が将来どのように展開するかを見通す段階。

    • このままでは事故に至る可能性が高いのか、あるいは安定して業務を遂行できるのかを予測する能力。

この3階層モデルは、航空(CRM: Crew Resource Management)や医療(TeamSTEPPS)の教育プログラムでも採用されており、世界標準の枠組みとなっている。

状況認識の重要性

事故防止の基盤

状況認識の欠如は、誤った意思決定・誤行動に直結する。たとえば「患者の酸素飽和度低下に気づかない」「計器の異常値を見落とす」といった初期段階のエラーが、重大事故の引き金になることは珍しくない。

他のNTSの前提

リーダーシップやチームワーク、コミュニケーションはすべて、正しい状況認識に基づいてこそ効果を発揮する。認識が誤っていれば、いくら適切な指示や協働を行っても、成果は得られない。

ヒューマンエラー研究の核心

心理学者James Reasonの「スイスチーズモデル」でも、状況認識の欠如は「潜在的エラー」を表面化させる重要要因とされている。すなわち、一見小さな情報見落としが、組織の複数の防御層をすり抜け、事故というアウトカムに至るのである。

状況認識の3つのレベル

① 情報収集(収集・知覚)

状況認識の第一段階は「情報を正確に拾い上げる」ことである。ここが不十分であれば、後続の「理解」「予測」はすべて誤りに陥る危険がある。

  • 医療分野
    医師や看護師は患者のバイタルサイン(血圧・脈拍・呼吸数・SpO₂など)や検査値、さらには患者の表情・声色・体の動きといった非言語的サインを観察する。小さな異変を見逃さない注意深さが不可欠である。

  • 航空分野
    パイロットは計器類の数値、無線交信内容、天候情報などを常時モニタリングする。情報量は膨大であり、「どの情報に優先順位を置くか」という取捨選択が安全運航を左右する。

  • 建設・製造分野
    現場監督者は作業員の配置、クレーンや重機の稼働状況、周囲の騒音や振動の変化を観察し、危険の兆候を把握する。

もし情報収集が偏ったり不足したりすれば、重大な「見落とし」が発生する。例えば医療現場で血圧低下に気づかない、航空で気象情報を軽視する、建設で作業員の位置を把握していない──いずれも事故の第一歩である。

② 理解(解釈・意味づけ)

情報を集めただけでは十分ではない。次に必要なのは「意味づけ」である。状況を正しく理解しなければ、誤った結論や対応につながる。

  • 同じ情報でも解釈が異なる
    複数のメンバーが同じ現場にいても、各人の経験や立場によって解釈は異なる。例えば「血圧の一時的低下」を「すぐに処置が必要」と解釈する医師と、「経過観察で十分」と考える看護師が存在しうる。

  • 共有の仕組みが必要
    このずれを防ぐために、クロスチェックやブリーフィングが重要である。特に医療では「SBAR(Situation, Background, Assessment, Recommendation)」が広く使われ、状況を整理・共有することで認識の統一を図る。

理解の段階で食い違いが残ると、チーム内で異なる意思決定が並行して行われ、事故のリスクが急増する。

③ 予測(将来の展開の見通し)

状況認識の最も高度な段階は「未来を読む」ことである。今の状況を理解した上で、将来どう展開するかを予測する力が、事故を未然に防ぐ鍵となる。

  • 医療:バイタルの変化から急変の兆候を察知し、先手を打った治療を準備する。

  • 航空:燃料残量や気象変化から航路リスクを見積もり、早めに代替空港へのルートを検討する。

  • 製造・建設:機械音や振動の変化から故障や崩落のリスクを察知し、作業を一時停止する。

予測力が欠けていると、「事が起きてから対処」せざるを得なくなり、被害の拡大を招く。逆に予測が的確であれば、リスクを未然に潰す「プロアクティブな安全管理」が可能になる。

ノンテクニカルスキルにおける意思決定

意思決定の定義

意思決定(Decision Making)とは、状況認識に基づき、複数の選択肢の中から最適な行動を選ぶプロセスを指す。ノンテクニカルスキル(NTS)における意思決定は、単なる「選択作業」ではなく、安全性・効率性・業務の質を最大化するための戦略的行動指針の選定という意味を持つ。

ここで重要なのは、意思決定が個人だけでなく「チーム全体」や「組織レベル」でも行われるという点である。例えば医療の現場では、外科医一人の判断だけでなく、麻酔科医・看護師・薬剤師など多職種が連携して意思決定を行う。一方で航空では、最終決定権は機長にあるものの、クルー全員の情報共有とアサーションがその意思決定の質を左右する。

意思決定の4つの方法

意思決定の代表的なアプローチを以下の表に整理する。

方法特徴利点課題
経験に基づく過去の経験や直感を参照熟練者は迅速かつ的確な判断が可能経験の浅い者には不向き、属人的
規則に基づくマニュアルや手順書に従う標準化・一貫性が高い想定外の事態には適応できない
比較に基づく複数選択肢を比較検討根拠を示しやすく説明可能検討に時間を要し、緊急時には不向き
創造に基づく新しい解決策を創出未知の危機にも柔軟対応可能根拠が乏しくリスクが高い
  • 医療分野:ガイドラインやプロトコルに基づいた意思決定(規則)を基本としつつ、予期せぬ合併症や患者固有の事情に直面した場合には、経験や創造的判断が不可欠となる。

  • 航空分野:チェックリスト遵守(規則)が安全運航の要だが、想定外のトラブルではパイロットの経験やチーム全体の創造的対応が求められる。

  • 建設分野:作業前のKY活動(比較)によってリスクを洗い出し、複数の対策を比較検討する。その上で現場の状況に即した最適解を導き出す。

意思決定エラーの典型例

意思決定は心理的・社会的要因に影響を受けやすく、誤りを招くリスクがある。以下に代表的なエラーを示す。

  1. 正常化の偏見

    • 危険を過小評価し「これくらいなら大丈夫」と思い込む傾向。

    • 例:小さな機械の異音を軽視 → 大規模な故障事故に発展。

  2. 権威勾配の影響

    • 上位者の判断に疑問を呈せず従うことにより、誤判断を是正できない。

    • 例:副操縦士が機長に反論できず、墜落に至った航空事故。

  3. 時間的プレッシャー

    • 緊急時の時間制約により、十分な検討を行えず拙速な判断を下す。

    • 例:救急医療で薬剤の確認を怠り、誤投与に至る。

  4. 情報過多による混乱

    • 膨大な情報の中で優先度を誤り、本質的リスクを見逃す。

    • 例:多数のアラームに気を取られ、致命的な異常を放置する。

これらの要因が複合すると「判断の盲点」が生まれ、重大事故につながる。したがって、意思決定のエラー要因を組織的に把握し、教育やチェック体制を整えることが重要である。

産業別にみる「状況認識」と「意思決定」の実践

医療分野

  • TeamSTEPPS
    米国発の医療チームトレーニングで、状況認識と意思決定を支えるツール(SBAR、クロスモニタリング)を採用。

  • 事例:ICUにおける多職種カンファレンスでは、医師・看護師・薬剤師が情報を持ち寄り、患者の状態を共有し迅速な意思決定を実行。これにより医療事故の減少やチームワーク改善が確認されている。

航空分野

  • Crew Resource Management(CRM)
    1977年テネリフェ空港ジャンボ機衝突事故を契機に導入。状況認識の共有、アサーション(主張)、クロスチェックの訓練を重視。

  • 事例:フライトシミュレーターで異常事態を再現し、パイロットと副操縦士が相互確認を行いながら意思決定を鍛える。事故の教訓を模擬的に体験することで、現場での対応力が強化されている。

製造・建設分野

  • 危険予知活動(KY活動)
    作業前に潜在的リスクを洗い出し、グループで対策を検討する仕組み。

  • 事例:重機作業前に「指差呼称」や「復唱確認」を行い、状況認識の共有と意思決定の精度を高める。これにより労働災害率が大幅に低減した。

状況認識と意思決定は、単なる認知・選択のスキルではなく、組織の安全文化を支える基盤である。各産業の成功事例に共通するのは、個人の能力に依存せず、チーム全体で認識と判断を共有する仕組みを導入している点である。

状況認識と意思決定を高める教育・訓練

シミュレーショントレーニングの重要性

シミュレーショントレーニングは、実際の現場で起こりうる状況を模擬し、リアルタイムでの判断と行動を経験する教育手法である。状況認識(SA)と意思決定(DM)は、知識の理解だけでは十分に育成できず、体験的な学習を通じて初めて実践力に結びつく。

  • 医療分野
    模擬患者(シミュレーターマネキン)や標準化患者を用いた急変対応訓練が代表的である。例えば心停止や急激な呼吸不全といったシナリオを設定し、医師・看護師・薬剤師が多職種で協働しながら状況認識を行い、最適な意思決定を行う訓練が普及している。実際、米国や日本の大学病院では「Code Blueシミュレーション」が標準化され、重大インシデントの減少につながっている。

  • 航空分野
    フライトシミュレーターを用いた異常事態訓練は、航空業界で長年の実績がある。悪天候下での緊急着陸や、計器の故障といった想定外の事態に対し、パイロットと副操縦士が協力しながら状況認識を共有し、迅速な意思決定を行う。特にCRM(Crew Resource Management)では、情報共有・アサーション・クロスチェックの重要性が徹底的に教育されている。

  • 建設分野
    高所作業や重量物取り扱いのリスクを、VRを用いて安全に体験できる教育手法が広がっている。現場での墜落・挟まれ事故は致命的な結果を招くため、あらかじめ仮想環境で危険を体感し、状況認識とリスク予測の精度を高めることが重視されている。

こうしたシミュレーショントレーニングの利点は、実際に事故が起きなくても「失敗から学ぶ」ことが可能になる点にある。

デブリーフィング(振り返り)の役割

訓練後に実施する**デブリーフィング(debriefing)**は、参加者が自らの行動・判断を振り返り、改善点を抽出する重要なプロセスである。

  • 目的:状況認識の質や意思決定プロセスを客観的に検討し、次回以降に活かす。

  • 方法:ファシリテーターが問いかけを行い、参加者同士で気づきを共有する。

  • 効果:単なる訓練の繰り返しでは得られない「学習の内省化」によって、NTSが定着する。

医療現場ではシミュレーション後のデブリーフィングが必須とされており、「なぜその判断をしたのか」「他の選択肢はなかったか」を議論することで意思決定の質が高まる。

チェックリスト活用による意思決定支援

チェックリストは、状況認識の確認と意思決定の補助に極めて有効なツールである。

  • 医療
    WHOが提唱した「手術安全チェックリスト」は、世界中の病院で導入が進んでいる。患者確認、手術部位確認、術中合併症リスク確認などを手順化し、チーム全体で声を出して確認することで、誤認や思い込みを防止する。

  • 航空
    離陸前、着陸前のチェックリスト遵守は、安全運航の根幹である。シンプルな確認作業が事故防止に直結しており、ヒューマンエラーを最小化する仕組みとして定着している。

  • 建設・製造
    危険予知活動(KY活動)では、作業前に「今日の作業リスクは何か」「どう防ぐか」をチェックリスト形式で整理する。これにより、状況認識の漏れを防ぎ、チームでの合意形成が容易になる。

チェックリストの本質は「思い込みを排除する」ことにあり、個人の力量や経験差を補完する役割を果たす。

教育効果の評価と課題

評価手法

ノンテクニカルスキル、とりわけ状況認識と意思決定の教育効果を測定するためには、複数の方法を組み合わせることが望ましい。

  • NOTSS(Non-Technical Skills for Surgeons)
    外科医を対象としたNTS評価ツール。状況認識、意思決定、コミュニケーション、チームワークを観察評価する枠組み。

  • ANTS(Anaesthetists’ Non-Technical Skills)
    麻酔科医用のNTS評価システム。手術中の状況認識や意思決定を、行動指標に基づいて客観的に評価できる。

  • 360度評価
    上司・同僚・部下など複数の立場からフィードバックを収集。特定の観点に偏らず、総合的にスキルを測定できる。

  • シミュレーション観察評価
    実際のシナリオ訓練で、意思決定のスピード・根拠・チーム内共有の有無を観察する。

課題

しかし、これらの評価手法には限界も存在する。

  1. 主観性の介在
    観察評価やフィードバックは評価者の主観に影響されやすく、標準化が難しい。

  2. 効果の減衰
    訓練直後には改善が見られても、数週間~数か月で効果が減衰することが報告されている。継続的な教育が必要である。

  3. 組織文化の影響
    ヒエラルキーが強い組織や心理的安全性が低い職場では、トレーニングで学んだスキルが実務に生かされにくい。権威勾配を緩和し、意見を言いやすい環境づくりが前提条件となる。

状況認識と意思決定を高める教育は、シミュレーション+デブリーフィング+チェックリスト+評価ツールの組み合わせによって実効性が高まる。しかし、それを真に活かすには、組織文化の改善や継続的フォローアップが不可欠である。

今後の展望

デジタル技術の活用

デジタル技術は、これまで紙ベースや現場訓練に依存してきた状況認識(Situational Awareness)と意思決定(Decision Making)の教育に革新をもたらしている。

  • VR/ARによる没入型トレーニング
    仮想現実(VR)や拡張現実(AR)を活用することで、現実さながらの環境下で危機対応を体験できる。例えば、医療では心肺停止のシナリオを再現し、限られた時間内で的確な状況認識と意思決定を行う訓練が実施されている。航空や建設業界でも、悪天候や高所作業をVRで疑似体験することで、リスクの早期察知と判断力強化が可能になっている。

  • AI解析による客観評価
    AIを用いた発話解析や行動ログ解析により、発話内容・反応速度・確認回数・割り込み率といったデータを定量化できる。従来は人間の観察に依存していた評価を客観化することで、訓練効果の持続性や弱点の可視化が可能となる。今後はAIがリアルタイムで指導者の役割を補完し、個人ごとにカスタマイズされた教育プログラムの提供も期待される。

異業種連携による知見の展開

状況認識と意思決定は、医療・航空・原子力・建設といった多様な分野で共通して重要視されている。今後は、異業種間での知見共有と標準化が進むと考えられる。

  • 航空・原子力 → 医療への展開
    航空分野のCRM(Crew Resource Management)や原子力のヒューマンファクター教育は、医療のTeamSTEPPS導入に大きな影響を与えた。これにより、医師・看護師・薬剤師といった多職種間のコミュニケーションと意思決定が強化されている。

  • 建設・製造業への波及
    建設現場のKY活動や製造業のリスクアセスメントにも、航空・医療で培われた「クロスチェック」「アサーション(主張)」といった概念が導入されつつある。異業種間で共通フレームワークを持つことは、**「NTS標準化」**への第一歩となる。

安全文化との統合

今後の最も重要な展望は、状況認識や意思決定を「個人スキル」から「組織文化」へと昇華させることである。

  • 心理的安全性の確立
    ハーバード大学のAmy Edmondsonが提唱した心理的安全性は、メンバーが自由に報告・相談・確認できる環境の必要性を強調している。心理的安全性のある職場では、状況認識の共有が活性化し、誤りを恐れず意思決定の質を高める議論が可能となる。

  • 「報告・相談・確認」の文化定着
    医療現場のインシデントレポート制度や、建設現場のヒヤリハット報告は、個人のスキルに依存せず組織全体で状況認識を高める仕組みである。意思決定も個人任せではなく、チーム・組織として合意形成する文化へと進化する必要がある。

まとめ

  • 状況認識は「収集 → 理解 → 予測」の3段階で形成され、意思決定の基盤となる。

  • 意思決定は「経験・規則・比較・創造」の4つのアプローチがあり、適切な選択が安全性と業務の質を左右する。

  • 教育・訓練(シミュレーション、チェックリスト、デブリーフィング)によって、状況認識と意思決定は強化可能である。

  • 産業分野の実践(医療のTeamSTEPPS、航空のCRM、建設のKY活動)は、その有効性を実証している。

  • 今後はデジタル技術(VR/AR・AI)、異業種連携、そして安全文化との統合を通じて、状況認識と意思決定を「組織文化」として根付かせることが求められる。

最終的に、技術革新が進むほど「人間が持つ認知・判断・協働力」が競争力の核心となる。ノンテクニカルスキル、とりわけ状況認識と意思決定を育成・定着させることは、組織の持続的成長と社会全体の安全を支える基盤である。

参考文献

  • Reason, J. (1990). Human Error. Cambridge University Press.

  • Endsley, M. R. (1995). Toward a theory of situation awareness in dynamic systems. Human Factors, 37(1), 32-64.

  • Flin, R., O’Connor, P., & Crichton, M. (2008). Safety at the Sharp End: A Guide to Non-Technical Skills. Ashgate.

  • Salas, E., & Maurino, D. (2010). Human Factors in Aviation. Academic Press.

  • World Health Organization. (2009). WHO Surgical Safety Checklist. WHO Press.

  • Agency for Healthcare Research and Quality (AHRQ). (2017). TeamSTEPPS 2.0: Strategies and Tools to Enhance Performance and Patient Safety.

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