ノンテクニカルスキル~チームワーク

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この記事ではノンテクニカルスキルの「チーム作業」と「チームワーク」について解説します。

ノンテクニカルスキルの一覧とチームワーク

ノンテクニカルスキル~チームの定義と役割

チームとは

安全で質の高い業務を行うためには、同じ目的に向かう複数の人間による協力が不可欠です。とりわけ様々な専門性を持つ集団が協働する場合には「チーム」としての連携や協力、コミュニケーションなどが業務の質に直結してきます。そのためチームで業務を行うことは、ノンテクニカルスキルの中でも非常に重要なスキルとなります。

この記事では「チーム(team)」を以下のように定義します。

共通の目的や使命に向かって相互に依存・作用しながら、それぞれが役割と機能を担い連携と協力をする2人以上の集団

なお、ただの集団と「チーム」の違いは、共通の目的と使命に向かって協力しているかどうかにあります。以上のようにチームを定義した上で、次にチームの役割について解説していきます。

チームの役割とメリット

チームの役割とメリットは主に以下の4つです。

ノンテクニカルスキルのチームワークの要素を解説した図
  1. 支援する
  2. 解決する
  3. 交換する
  4. 調整する

支援する

まずチームの役割として重要なものに「支援する」ことがあげられます。「支援する」とは、チームを構成するスタッフが、同じチームで作業する他者を手助けすることです。この手助けには、助言や情報の提供なども含まれます。また、チームが担うタスクの一部を個々人がしっかり担うことも「チームへの支援」といえます。いずれにしても「支援する」ことや「支援し合う」ことは、チームで業務を行うことの大きなメリットの一つといえます。

また、チームのメンバーが相互に支援し合う関係は、以下で解説していくチームの役割全体を包括する基本的な概念であり、チーム作業を円滑に行う上でも非常に重要な部分でもあります。

解決する

「解決する」というのは、業務を行う上で生じる様々な問題を除去あるいは低減することです。また、チームで業務を行う上で生じるチーム内の衝突や障害を取り除くことも「解決する」ことに含まれます。業務を複数の人々で遂行していく過程では、意見の対立や衝突などが生じることがあります。チームで作業を行うメリットは、業務で生じる問題や衝突を協力して解決できることです。

交換する

チームの役割として「交換する」ことも重要です。ここでいう「交換」とは主に情報や知識等のことをさします。例えば業務上必要となる情報の交換や熟練したスタッフから経験の浅いスタッフへの教育やアドバイスなどです。

チーム内における情報交換は、口頭で行われる場合もあれば文書やメモ等で行われる場合もあります。いずれにしても大切なのは、安全で質の高い業務を行うために必要なコミュニケーションを円滑にすることです。チームとして作業を行う役割は、一個人だけでは知り得ない情報や知識を複数人で共有することにあります。

調整する

「調整する」とは、業務を行う上で必要となる計画や実行すべきタスクなどを明確にして共有することです。また、スタッフそれぞれの意見などを聞き、それらを踏まえてどのように業務を実行し遂行するのかを決定することもチームの大きな役割となります。また、作業をチーム内のスタッフそれぞれに分担することも調整することに含まれます。

「調整する」ということは「協調する」ともいえます。安全かつ質の高い業務を行うためには、チームのスタッフ同士が協調しながら為すべきことを進める必要があります。

それでは次にチームを有効に活かすための方法を解説します。

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チームの有効性

チームの有効性は次の6つの要素で構成されています。

チームワークの有効性の基準を解説した図
  1. モニタリング
  2. フィードバック
  3. コミュニケーション
  4. バックアップ
  5. チームの認識
  6. 相互依存

モニタリング

モニタリングとは、チームのメンバー同士が互いに監視し合うことです。チームで業務を行う場合は、自分も他者の行動を監視しているし、他者もまた自分の行動を監視しているという状況が望ましいといえます。とりわけ安全が優先されるような現場においては、メンバー同士が互いに補完し合う関係性を構築することが重要なります。そのため、モニタリングはチームの有効性を高めるためには非常に重要なものとなります。

フィードバック

フィードバックとは、自他共の行動に対して互いに意見するなど、何らかの反応を示すことです。チームのメンバー同士が互いの言動に対してフィードバックを出すことは、安全かつ質の高い業務が求められる現場においては必須といえます。前述したモニタリングの結果として互いにフィードバックを与え合うことは、チームを構成して業務を行うことを効果的なものとします。

メンバー間のフィードバックがあるチームでは、個人で見落としていた誤りを指摘されることで修正でき事故を未然に防止することができる場合もあります。また、こうしたチームは個々人のみならず、チーム全体で安全性を向上させることができます。

コミュニケーション

安全で質の高い業務を行うためには、チーム内のスタッフ同士が互いに適切なコミュニケーションをとることが重要になります。コミュニケーションが存在しなければ、もはやチームというより単なる集団でしかありません。チームの定義でも言及しましたが、チームというのは共通の目的に向かって相互作用する集団です。そして共通の目的も相互作用もコミュニケーションがあってはじめて成り立つわけです。そのためチームの有効性を語る上でコミュニケーションは、もっとも大切な要素となります。

バックアップ

バックアップとは、チームのメンバーが他者を支援したり補完することをいいます。例えば安全を要する業務を行う場合に、作業を行う人だけではなく他のスタッフも注意を払ったりチェックしたりすることです。

チームが有効に機能するには、チームを構成するメンバー同士が互いに他者を支援し合い、必要があれば行動を補完し合う関係を構築することが重要になります。前述したモニタリングやフィードバック、コミュニケーションは、結果的にチーム内でバックアップし合うことで有効なものとなっていきます。

チームの認識

チームを有効に機能させるためには、チームのメンバーが各々に「自分はチームの一員である」ということをしっかり自覚する必要あります。また、個々のメンバーが各々に担う「自分の役割」と「チームの一員としての役割」を明確に認識することも重要です。

相互依存

チームのメンバーが各々に担っているタスクの成功は、チーム全体の成功につながっているのか。個々の目的とチームの目的が矛盾するものになっていないかを確認する必要があります、また、メンバー同士が相互依存の関係を構築できているかどうかがチームの有効性につながっていきます。

チームの訓練と評価

チームワークの訓練と評価を解説した図
  1. 情報交換
  2. 意見交換
  3. 他者支援
  4. 能力評価
  5. 協調

情報交換

チームの評価を行う基準として、情報交換を適切かつ正確に実施できているかを判断することが重要です。チームの役割でも解説したとおり、チームのスタッフ同士が情報や知識などを相互に交換することは、チームで作業を行う基礎となります。そのため、チームワークを向上させるための訓練を実施する場合においても、情報交換をどのように行うかなどを確認することが求められます。

意見交換

意見交換は前述した情報交換とは異なり、ある一つの状況や交換した情報に対して行うコミュニケーションの一種です。この意見交換を念頭におくことはコミュニケーションを一方向だけではなく双方向的に行うためにも重要となります。そのため、チームワークの向上させるための訓練を実施する場合においても、意見をどのように交換するか事前に想定して行う必要があります。

他者支援

チームで作業を行う上で他者への支援は欠かせません。チームワークを評価して、より向上させるための訓練を実施する場合にも他者支援の具体的な方策などの確認が大切になります。

能力評価

ノンテクニカルスキルは、職場において非常に重要な役割を果たしています。ノンテクニカルスキルには、コミュニケーション能力、リーダーシップ能力、協調性、問題解決能力などが含まれます。これらのスキルは、業務遂行に必要な技術的なスキルだけでなく、職場内での効果的なコミュニケーションや協力関係の構築に不可欠です。

ノンテクニカルスキルの能力評価には、以下のような方法があります。

1.行動観察

ノンテクニカルスキルの評価には、行動観察が有効な方法として挙げられます。職場での実際の業務中の振る舞いや行動を観察することで、コミュニケーションやリーダーシップ、協調性などのスキルを評価することができます。

2.インタビュー

面接やアセスメントセンターでのインタビューを通じて、ノンテクニカルスキルを評価することができます。インタビューでは、候補者がどのように問題解決や意思決定を行い、チームで働く際にどのような役割を果たすかなどを尋ねることができます。

3.フィードバック

フィードバックは、ノンテクニカルスキルを評価するための重要な手段です。上司や同僚からのフィードバックを受け取ることで、自分自身のスキルを評価し、改善することができます。

4.アセスメントセンター

アセスメントセンターでは、グループディスカッションやロールプレイなどの演習を通じて、候補者のノンテクニカルスキルを評価することができます。複数のスキルを同時に評価することができるため、より総合的な評価が可能です。

以上のように、ノンテクニカルスキルの能力評価には、複数の方法があります。これらの方法を適切に組み合わせることで、より正確な評価が可能となります。

協調

「協調」とは、他人と共に仕事を進めるためのスキルであり、チームワークやコラボレーションの重要な要素の一つです。協調性を持った人は、他人と協力して目標を達成し、自分の意見を上手に伝えながら他者の意見も受け入れることができます。また、協調性を持った人は、チームの中で自分が果たすべき役割を理解し、その役割を果たすために必要なサポートやアシストを他者に提供することができます。

協調性は、職場において重要なスキルの一つであり、業務の効率化や問題解決にも役立ちます。

チームの成長と発展

チームの成長段階と過程を解説した図

チームの成長には、Tuckmanのチーム発達段階理論による4つの段階があります。

  1. 形成
  2. 混沌
  3. 開放
  4. 統合

形成

チームがまだ慣れない状態で、お互いのことを知らない時期です。目標が明確ではなく、役割分担や意思決定のルールがまだ確立されていません。チームメンバーはお互いに親密になろうとしますが、まだ信頼関係を構築する前段階のため、互いに敬遠し合うことが多いです。

混沌

チームメンバーはお互いの違いに気づき、競争的な関係を築こうとすることがあります。この時期は、チーム内での意見の対立や、リーダーシップの争いなどが発生することがあります。競合期は必ずしも悪い状態ではありません。チームメンバー同士の意見交換を通じて、チームがより良い意思決定をするための基盤を築くことができます。

開放

混沌期の後、チームメンバーはお互いの違いを受け入れ、共通の目標に向けて協力しようとするようになります。チームメンバーは、役割分担や意思決定のルールなど、組織のルールを確立し始め、協調性が高まります。リーダーは、チームの活動に対して指導する役割を果たすことができます。

統合

開放期を経て、チームは共通の目標に向けて協力することができます。リーダーシップが明確になり、役割分担や意思決定のルールが確立されているため、成果を出すための効率的な活動を展開することができます。成熟期になると、チームメンバーはお互いを信頼し、共通の目標に向けて協力することができるようになります。

チームワークと書かれた黒板

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