ヒヤリハットとは何か~その意味と定義を事例と法則をつかって解説

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ヒヤリハットとは何か?その意味と定義について

ヒヤリハットとは、事故に至る可能性のあった出来事の「発見」です。つまり事故に至る可能性があったものの、事故に至る前に発見されて防ぐことができた場合のことです。

類語に「インシデント」という言葉があります。インシデントはヒヤリハットとほぼ同義として扱われています。しかし注意が必要なのは、ヒヤリハットとは事故に至る可能性のあった出来事の「発見」であって、出来事そのものはインシデントです。

ヒヤリハットの語源は文字どおり「ヒヤリとした」「ハッとした」という所からきています。つまり人の主観です。

事故に至る可能性のある事故が存在しても、それを発見しなければ「ヒヤリ」とも「ハッと」することもありません。ようするに、事故に至る可能性のあった出来事を発見してはじめて、主観的に「ヒヤリ」あるいは「ハッと」するわけです。

一方でインシデントは「ヒヤリ」「ハッと」することを定義の条件として要求しません。客観的な事実として事故に至る可能性があった事実そのものがインシデントです。つまり極めて類似した意味の言葉ではありますが、完全に同義とはいえない理由もここにあります。

ヒヤリハットとは何かという意味と定義を解説した図

ただ一般的には、ほぼ同義として扱われているのが現実です。そのため以降では、ヒヤリハットを「事故に至る可能性のあった出来事」として解説を進めます。

それでは次にヒヤリハットと「事故」との境界についてみていきましょう。

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ヒヤリハットの事例~医療における境界と分類

ヒヤリハットと事故の定義と境界線を解説した図

ヒヤリハットとは、事故に至る可能性のあった出来事もしくはその発見です。その場合「ヒヤリハットと事故との境界とは何なのか?」というのが焦点になります。つまり境界線です。

通常その線引きは、業種や状況等によって相対的に変化します。絶対的な線引きは必ずしも存在しないということです。重要なのは、ヒヤリハットか事故かという評価対象についてどのような認識をして、どこで線引きするかにあります。

以下の図は、医療におけるヒヤリハットと事故との境界をレベルごとに分類した事例です。

医療介護におけるヒヤリハット患者影響レベル分類の表

医療においては「レベル3a」を境界にしてヒヤリハットと事故との定義を分類している場合が多いです。医療機関によって「レベル2」までをヒヤリハットとしている場合もありますし、「レベル3a」までをヒヤリハットとしている場合もあります。いずれにしても医療の事例においては、「レベル3a」の前後で境界を設けている場合が多いということです。

ここで今一度ヒヤリハットの定義を振り返ると、ヒヤリハットとは事故に繋がる可能性のあった出来事までをいうのであって、事故に至った場合はまさに「事故」です。

医療の事例でいえば「レベル3a」は軽度とはいえ患者に治療もしくは処置を要しており、ヒヤリハットというには最早かなり無理があるといえます。

大切なのはヒヤリハットと事故との境界を「影響」で判断するのか「程度」で判断するのかというコンセンサス(合意形成)を事前にしっかりと行っておくことです。

それでは次にヒヤリハットには一体どのような背景があって発生するのかを解説していきます。

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ヒヤリハットの法則~ハインリッヒの法則の解説

ヒヤリハットに関する法則としては有名な「ハインリッヒの法則」があります。ハインリッヒの法則とは、1つの重大事故の背景には、およそ29の軽微な事故があり、さらにその背景には300のヒヤリハットが存在することを法則化したものです。その概要が以下の図になります。

ハインリッヒの法則でヒヤリハットを解説した図

このハインリッヒの法則は、アメリカの保険会社において技術・調査部の副部長をしていたハーバート・ウィリアム・ハインリッヒが1928年の論文で発表した災害における統計に基づいています。ハインリッヒは5000件以上におよぶ事故事例からこの法則を統計的に導き出して発表しました。

ハインリッヒの法則では、重大事故の背後には多くのヒヤリハットが存在していることを数値化したわけです。この法則においても、前述したようにヒヤリハットと軽微な事故を区別しています。そしてハインリッヒの法則でもう1つ重要なことは、ヒヤリハットの背景にも多くの要因があることを示唆していることです。それを表したのが以下の図になります。

ヒヤリハットの氷山モデル

ハインリッヒは、ヒヤリハットの背後にも数千から数万の「不安全行動」もしくは「不安全状況」が存在することを重ねて示唆しているのです。ハインリッヒの法則における「300-29-1」という数値は、いわば表出した氷山の一角であり、その背後には人間の不安全行動、もしくは環境的要因による不安全状況・状態が隠れているということです。

ヒヤリハットとは通常あまり好ましいことではありません。しかし、表出したヒヤリハットという氷山の一角から危険な状況を感知し、その行動あるいは環境を改善するためのシグナルとしては有効な面もあるといえます。

いずれにしてもヒヤリハットは、事故に至らなかった出来事の発見をとおして、そこから何を学び対策していくかという貴重な機会であるともいえます。

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