アクティブラーニングとは~意味と定義を事例をつかって解説

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真に責任を持って行動するとき、学習する速さは最大になる

ピーター・センゲ

アクティブラーニングとは~その意味と定義について

アクティブラーニングとは、学習者が主体となって能動的に学習活動を行う学習方法です。

もともとアクティブラーニングは、1980年代から1990年代にアメリカの高等教育改革の中で普及していった教育法の総称でもあります。そしてその主眼は「学習者の主体的な学びの姿勢を引き出す」ことを目的としたものです。

ここでいう「主体的」とは、明確な目的に対して自らの意志や判断によって学習することです。注意が必要なのは、主体的と「自主的」との区別です。

自主的とは目的それ自体をも自ら判断することです。アクティブラーニングでいう主体的とは、あくまでも目的や課題は教育者側から学習者へ明示されているということです。その上で学習者が主体となって学ぶということであり、自主的との区別なく解釈すると学習者にとっては相当ハードルの高い学習となります。

以下の図はアクティブラーニングの概念を、学習の階層と定着率の視点から解説した図になります。

アクティブラーニングの学習定着率を解説したピラミッド図

この図でいうと外側へ広がるほどアクティブラーニングの概念に近づいていきます。もっともコアな部分は教育者側が主体となった講義や授業となります。一方で外側へいくほど主体者は教育者側から学習者側に遷移していきます。

アクティブラーニングといわれる領域は、学習者が受動的な立場から能動的な学習参加をする部分からとなります。上の図でいえばグループ討論(ディスカッション)からとなります。また、学習者が能動的であればあるほど学習定着率も上昇していきます。

それでは次にアクティブラーニングのメリットとデメリットについて解説していきます。

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アクティブラーニングのメリットとデメリット・問題点

学習者の能動的な活動を引き出すアクティブラーニングにもメリットもあればデメリットもあります。以下の図はアクティブラーニングのメリットとデメリットを可視化した図になります。

アクティブラーニングのメリットとデメリットを解説した図

アクティブラーニングのメリット

上の図で示したアクティブラーニングのメリットに共通するのは臨機応変さです。

アクティブラーニングは学習者のみならず、教育者側のレベルに合わせて段階的に学習方法を変化させることができます。そもそもアクティブラーニングの目的は、学習者が主体となって能動的に学ぶ姿勢を引き出すことにあります。そのため、本来なら教育者側が学習者の能動的な姿勢を引き出すべき場面において、アクティブラーニングは教育者の「引き出す能力」を補完してくれます。

また学習者にとっても、学習の理解度に応じて臨機応変な学習方法を行うことができます。そして形式にとらわれることがないため学習の導入がしやすく、様々な学習方法の良い面を取り入れながら幅広い学習を行うことが可能です。

アクティブラーニングのデメリットと問題点

アクティブラーニングの最大のデメリットは、本来ならメリットである臨機応変な学習方法が、教育者側の能力不足などによって思うように進めることができない場合があることです。

アクティブラーニングの学習方法は多彩です。それら1つ1つの学習方法を教育に取り入れるには、まず教育者側に各々の学習方法に対する理解が必要になります。また、アクティブラーニングに対する理解不足や認識のズレなどによって、効果的な学習を妨げてしまうこともあります。

そのためアクティブラーニングを進めるには、教育者側に一定の教育能力が求められます。

それでは次にアクティブラーニングの種類と分類の事例を解説していきます。

アクティブラーニングの種類と分類の事例

アクティブラーニングといっても、何か特定の学習方法をさしているわけではありません。前述したように学習者が主体となった能動的な学習方法の総称がアクティブラーニングです。

以下の図は、アクティブラーニングの種類と分類を可視化した見取り図です。

アクティブラーニングの種類の見取り図

縦軸は構造の自由度を示しており、横軸は活動の範囲を示しています。またそれぞれの領域には、学習の目的が分類されており、教育の目的によって学習方法は変わることを意味しています。

教育を行う側は、その教育の内容と目的を明確にし、学習者にとって最も有益な学習方法を選択する必要があります。ただ闇雲にアクティブラーニングを実施しようとしても、その目的が曖昧であったり、学習方法の妥当性がズレていれば効果的な学習とはなりません。

そのため教育を行う側は、その目的を明確にした上で適切な学習方法を行うことが重要になります。また、学習者に対して明確な課題を提示し、その上で能動的な学習ができるように進めていくことも大切です。

それでは次にアクティブラーニングの代表的な学習方法の例を解説していきます。

①グループ討論(ディスカッション)

アクティブラーニングの中でも、最も活用されている例がグループ討論です。グループ討論とは文字どおり、グループごとに分かれて、同じグループのメンバー同士で課題について討論する学習方法です。

グループ討論の具体例としては、提示された課題についてメンバー1人1人が紙に自分の意見を書き、それをグループのリーダーに提出します。リーダーは1人1人の意見を集約し、その内容に基づいてグループ全体で意見を交わしていきます。

②プレゼンテーション

プレゼンテーションは「①グループ討論」を行った結果として、グループごとに意見の発表や質疑応答などを行う方法です。そのため、プレゼンテーションはグループ討論などの学習後に行われることが多く、他の学習方法とセットにしていくと効果的です。

またプレゼンテーションは「他者に伝える」「他者に教える」という側面もあるため、発表者自身の学習定着度を向上させ、学んだことをより一層深いものにできるため効果的な方法になります。

③フィールドワーク

フィールドワークとは提供された課題に基づいて、実際に課題対象となっている場所あるいは人などを調査することです。フィールドワークは学習者自身が実際に課題対象となっているものに触れたり、体験することもできます。そのため、体験学習や実習なども広義の意味では含みます。

フィールドワークは基礎的な学習があってはじめて活きてきます。そのため、フィールドワークを行う場合には、事前に基礎的な学習をした上で課題を与え、「知識を活用する」という目的で行われることが多い方法です。

フィールドワークの後には、「②プレゼンテーション(調査結果の発表を行う)」と効果的です。

それでは次にアクティブラーニングの具体的な方法と進め方について解説します。

アクティブラーニングの方法と進め方

以下の図はアクティブラーニングの基本的な学修サイクルです。

アクティブラーニングの方法と学修サイクルを解説した図

アクティブラーニングでよく忘れ去られがちなのが、基礎学習の必要性と課題設定の甘さです。

学習者の主体性と能動性を意識するあまりに、教育者側が基礎学習や課題設定を置き去りにしてしまい、結果的に学習者側に学ぶことを丸投げしてしまうことがあるのです。

アクティブラーニングの主体者は学習者ですが、学習課題が明確でなければ能動的に何をしていいのか理解できません。また、基礎的な知識もないままグループ討論やディベートを求められたり、発表を促されたとしても効果的な学習とはならないので注意が必要です。

アクティブラーニングは、まず明確な課題を提示し、それにともなった基礎学習が大切です。その上で、学習者の自発的な学習意欲を引き出し、「他者と学び合うという姿勢」が重要となってきます。

学修サイクルの流れの中で、どのような学習方法を取り入れていくかはケースバイケースです。学習の目的によって取り入れる学習方法は変わってくるでしょう。知識の定着を強化するものなのか、あるいは知識を活用してより深い理解を促すものなのかなど、目的の違いによって適切な学習方法は変わります。

いずれにしても大切なことは、アクティブラーニングの目的は主体的で能動的な姿勢を引き出すことによって、最終的に学習者の資質と能力を育成し、学ぶ教科や課題の目標を達成することなのです。

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